カルロス・サウラ監督×ヴィットリオ・ストラーロ『フラメンコ・フラメンコ』が2012年正月公開!
『カラスの飼育』(87)、『血の婚礼』(85)、『カルメン』(83)などの名作を次々と生み出した、スペイン映画界の巨匠カルロス・サウラ監督による『フラメンコ・フラメンコ』が2012年正月に公開されることがわかった。
名実共に世界的巨匠と謳われるカルロス・サウラ監督と、『暗殺の森』(72)、『ラストエンペラー』(88)などで“光の魔術師”という異名で称される撮影監督のヴィットリオ・ストラーロが初めてタッグを組んだ作品が、1994年の映画『フラメンコ』だった。世界的に活躍していたバイラオール(男性舞踊家)のホアキン・コルテス、バイラオーラ(女性舞踏家)のメルチェ・エスメラルダ、マリア・パヘスなどを迎えたこの作品は、日本でもヒットし、フラメンコ熱が一気に加速した。
その後も『タンゴ』(98)、『サロメ』(03)、『ドン・ジョバンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い』(10)など、ダンスと音楽をテーマにした作品を真摯に撮り続けてきたカルロス・サウラ監督がヴィットリオ・ストラーロと組み、満を持してさらなるフラメンコの真髄に迫ったのが本作だ。本作では、フラメンコ界の神と称されるマエストロたち、パコ・デ・ルシア、マノロ・サンルーカル、ホセ・メルセーが、新世代の豪華なアーティストたち、サラ・バラス、エストレージャ・モレンテ、ミゲル・ポベダ、イスラエル・ガルバン、エバ・ジェルバブエナ、ファルキート、ニーニャ・パストーリと出会い、華麗なるフラメンコの世界を体現している。
本作でフラメンコを通して描かれるテーマは“生命の旅と光”。生命の旅とは、“音楽に乗って人間の一生を巡る”ことである。カルロス・サウラ監督は、人の誕生から晩年、そして再生までを多彩なフラメンコのパロ(曲種)を用い、全21幕の構成で描き出す。「私の経験によると、“ハード”なフラメンコと“軽妙”なフラメンコの間に、交互に印象的な演目の上演を規則的に並べたり、カンテ、バイレ、演奏を単なるブロックに分けたり、あるいはスタイルで区分したりすることは無意味なことだ」と話すカルロス・サウラ監督。「このようなことから、物語を紡ぐように演目を並べ、ドラマチックな場面を演出するということはあえてしなかった。音楽やバイレの美しさ以上の何かを、カメラの前に持ち込むことは、ただフラメンコの純粋さに対する背徳行為にしか思えてならないのだ」と、熱い思いを語っている。
『フラメンコ』から16年を経て、フラメンコが遂げた進化と熟成が、超一流アーティストたちの見事な共演によって披露されるのは間違いないだろう。【Movie Walker】