邦画史上屈指の名作の舞台となった隠れスポット、品川宿の魅力とは?

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邦画史上屈指の名作の舞台となった隠れスポット、品川宿の魅力とは?

名匠・川島雄三監督が1957年に発表した映画『幕末太陽傳』(57)。幕末の江戸にあった相模屋という遊郭を舞台に、文無しで遊びをつくした主人公・佐平次が“居残り”と称して宿で働き始め、周囲で巻き起こる騒動に次々と首を突っ込んでいく姿を軽やかに描いた時代喜劇だ。古典落語「居残り佐平次」をベースに、当時の日本映画界を代表する名優が顔をそろえた邦画史上屈指の名作として知られる本作が、2012年に創立100周年を迎える日活の記念事業として、この度、デジタル修復を施され『幕末太陽傳(デジタル修復版)』として12月23日より公開されている。

そんな本作の劇中での舞台となっているのが、江戸を代表する宿場として栄えた品川宿。現在の京浜急行・北品川駅から青物横丁駅辺りにかけて広がっていた宿場だ。当時は色町としてもにぎわっていたそうで、北の吉原に対して南の品川とも呼ばれていたという。戦後の赤線廃止に伴い、街並みはすっかり変わってしまったかに思えるが、実は今でも映画の雰囲気は失われておらず、かつての品川宿一帯は、江戸の風情と面影を残した商店街として生き続けているのだ。

そんな品川の地元商店街が、今回の『幕末太陽傳(デジタル修復版)』公開を記念したキャンペーンを開催中だ。店先にはずらりと並んだ『幕末太陽傳』の旗がはためき、映画の半券提示で割引になる店や、地元の青果店店主が復活させた幻の江戸野菜“品川蕪”を使用した期間限定のオリジナルメニューを出す店などもあり、映画好き、落語好き、歴史好きにはとても嬉しいキャンペーンとなっている。映画のパネル展示など、作品に関連した企画もあり、丸一日かけて楽しむことができるだろう。

映画の舞台となった「相模屋」、通称「土蔵相模」の跡地(現在はファミリーマートが建っている)付近を歩けば、“居残り佐平次”気分に浸れるかも。粋な江戸情緒あふれる隠れスポット・品川宿。映画鑑賞の次いでに、ちょっとした散歩気分で年末年始にお出かけしてみてはいかがだろうか。【トライワークス】

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