辻井伸行からの「謙虚で腰の低い方」発言に、渡辺謙タジタジ
歴史的偉業を成し遂げた日本の科学者、技術者たちと、それを見守った人々の激動の7年間を描く『はやぶさ 遥かなる帰還』(2月11日公開)。本作の完成披露試写会が1月19日、ユナイテッドシネマ豊洲で行われ、出演者の渡辺謙、江口洋介、夏川結衣、小澤征悦、中村ゆり、藤竜也と、瀧本智行監督、音楽を担当した辻井伸行、JAXAの川口淳一郎教授が登壇した。本作で、一作品全ての音楽を担当することになった辻井は、「宇宙のイメージを膨らませるのは難しかったです。監督は、男と男の葛藤や困難や、トラブルを越えてやり遂げた達成のイメージを音楽でイメージしてほしいと仰っていました。非常に熱意のある方で勉強になりました」と明かすと、渡辺は「本当に(監督は)しつこかったんですね(笑)」と緊張気味の辻井を和ませた。渡辺の印象について、辻井は「大物なので何を話したら良いのかと考えましたが、(実際に会うと)謙虚で腰の低い方。自分もそうならなきゃ」と語り、渡辺はタジタジさせた。
はやぶさが帰って来たオーストラリアのウーメラ砂漠でロケを行った夏川は、「夜空がとても綺麗で、静かで、広くて、そんな中にはやぶさが帰って来たということを想像するだけで、胸に迫るものがありました」と振り返った。藤は撮影の待ち時間の過ごし方について、「東映の撮影所で、白いテントを張り、椅子とテーブルを並べて、俳優の皆さんがいつ呼ばれても良いように、そこで団欒をするようにしたんです。みんなでチームワークを作るのに良かったですね。渡辺さんとはアメリカでの映画の話や、クリント・イーストウッドさんの話をした」とチームワークの秘訣を明かした。本編後半にはそのウーメラ砂漠での星空が出てくるといい、瀧本監督は「その星空に込めた思いを皆さんに感じてもらえたら、それだけで成功」と自信を持ってアピールした。
東日本代震災後、本作が初の仕事だと語った江口は、「渡辺さんを筆頭に、一丸となって映画に取り組もうとしているのが、最初の本読みの段階からひしひしと感じました。大災害があった後、僕自身も初めての仕事だったので、それぞれがいろんなことを思いながらその場に足を運んできたと思うんですが、『この内容で、今これを作るべきだ』という熱い意気込みを感じ、僕はぐっと(現場に)入っていったのが印象に残っています」と心境を語った。「JAXAの方々はこの映画をどう受け止められるんだろうか」とドキドキしながら撮影を行っていたという渡辺は、完成後にJAXAの川口教授からメールをもらったといい、「2、3行は『素晴らしい映画でした』というお褒めの言葉をいただいたんですが、『この映画は宇宙に関わっている人、宇宙に興味のある方、はやぶさに興味のある方には飛びついて見てもらえると思う。でも女性や子供さんにこれからどう届けていくのか、それが課題』という映画プロデューサーのようなメールをいただいた」と明かし、笑顔を見せた。
渡辺、江口、夏川、小澤、中村、藤のほか、本作には吉岡秀隆、石橋蓮司や、瀧本監督が「とってもおっかない」という山崎努が出演している。【Movie Walker】