日本のシンセサイザーの父は宇宙航空技術の父と深い関係があった!?

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日本のシンセサイザーの父は宇宙航空技術の父と深い関係があった!?

NASAも達成していない、小惑星の地表から岩石サンプルを持ち帰るという偉業を成し遂げた小惑星探査機はやぶさ。はやぶさにまつわる人々のドラマはこれまでに、昨年10月公開『はやぶさ HAYABUSA』、2月11日公開『はやぶさ 遥かなる帰還』の2本と、3月10日(土)公開の『おかえり、はやぶさ』が大トリを飾る形で登場する。

前2作が、はやぶさのプロジェクトチームに迫った物語に対し、本作は変化球的なアプローチを見せている。藤原竜也扮するはやぶさプロジェクトに携わるJAXAエンジニア助手の青年と、失敗に終わったのぞみのプロジェクトマネージャーの父親という親子はオリジナルキャラクターだが、本作が「プロジェクトX」的ではない家族ドラマだということを色濃く打ち出している。また、宇宙空間を飛ぶはやぶさを3Dで表現し、迫力ある映像を作り出しているのも見どころだ。

その宇宙空間のシーンで異彩を放つのが富田勲の音楽だ。富田勲と聞いても、若い世代にはあまりピンとこないかもしれないが、NHK「新日本紀行」や、数々の大河ドラマ、『たそがれ清兵衛』(02)など山田洋次監督作の音楽を手がけており、その音を聴いてもらえば、“ああ、聴いたことがある”とうなずいてもらえるはずだ。

彼の音楽の特徴は、シンセサイザーによるスペーシーな曲調。ドビュッシーの「月の光」を独自にアレンジしたデビューアルバムが米ビルボード誌クラシックチャート第1位になるなど、世界から絶賛されている。そんな富田は日本の宇宙航空技術の父・糸川英夫博士と交流があったそうで、昨年6月に発売されたアルバムには博士に捧げるレクイエムとして、はやぶさをテーマにした新曲「イトカワとはやぶさ」を発表している。はやぶさと実は深い関係にあったこともあり、監督は最初から富田に音楽を依頼する予定だったそうだが、2つ返事でOKが出たのだそうだ。そんな富田が作った音楽だが、とにかく“富田節爆発!”とでも言わんばかりの存在感を発揮しており、一瞬、本作が彼のミュージックビデオなのかと思えるほど。宇宙空間にこれほどマッチする音楽というのもないのではないかというぐらいだ。そんな富田勲の音楽を聴くだけでも劇場に足を運ぶ価値があるだろう。【トワイワークス】

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