『顔のないスパイ』リチャード・ギア「衝撃のクライマックスにみんな騙されると断言するよ」

インタビュー

『顔のないスパイ』リチャード・ギア「衝撃のクライマックスにみんな騙されると断言するよ」

『ウォンテッド』(08)の脚本家マイケル・ブラントが監督を務めた、リチャード・ギア&トファー・グレイス主演のサスペンスアクション『顔のないスパイ』が2月25日(土)より公開される。本作は冷戦時代の元CIA諜報員ポール・シェファーソン(リチャード・ギア)と若きFBI捜査官ベン・ギアリー(トファー・グレイス)が、上院議員暗殺の犯人とされる旧ソ連の伝説のスパイ“カシウス”を追う様が描かれる。謎が二転三転するプロットから最後まで目が離せない。今回、主演のリチャード・ギアに出演の決め手から役作り、活躍の秘訣まで色々インタビューした。

――出演のきっかけは?

「エージェントから送られた脚本を読んだ数日後、ハンプトンにある私の家に、何と監督のマイケル・ブラントが自らやってきたんだ。玄関先で『こんにちは!僕が“顔のないスパイ”の脚本を書いたんです』って(笑)。そして3時間ほど熱く微に入り細に入りプレゼンをしてくれて、ポールという役、この作品にすっかり魅了されてしまった。気付いた時には、出演の承諾をしていたよ」

――脚本のどういう点に惹かれたのですか?

「主人公の引退した凄腕CIAエージェント、彼とコンビを組むことになる若き情熱家のFBI捜査官、その上官たち、そして冷酷の伝説のスパイ“カシウス”、とにかく登場人物全員がものすごく上手に嘘をつくんだ。そして“嘘つき”っていうのは俳優にとって、とても演じがいがあるものなんだよ。そんなことを言うと、俳優たちの人間性を疑われそうだけどね(笑)」

――役作りについて聞かせてください

「格闘シーンが多いから、撮影に入る何ヶ月も前から、肉体作りを含めた本格的なトレーニングを開始したんだ。ポールは元凄腕のCIA捜査官という設定なので、相手を素早く倒す格闘技術を身につける必要があった。何より、監督もアクションシーンのリアリティさを大事にしていた。ロシアの軍隊格闘術のシステマの基本スタイルを応用して、独自の格闘スタイルを作り上げていったんだ。60代になった今、確かに若い頃とは身体も動きも違ってくるかもしれない。でも、自分は可能な限りアクションシーンは自分で演じ続けたいと思っている」

――撮影中大変だったことは?

「格闘シーンで肩を脱臼してしまったことかな(苦笑)。でも、ありがたいことに、共演者もスタッフも『自分で演じたい』という私の希望をくんでくれ、回復まで6週間もかかるというのに、撮影をいったん休みにしてくれたんだ。誰も文句一つ言わずにね。19歳年下の共演者テイマー・ハッサンも『待つのがフェアなやり方ってもんさ。あなたのそのファイティング精神に敬意を称してね』と言ってくれたよ」

――共演者のトファー・グレイスの印象はどうですか?

「彼はよくオファーを断ることで有名らしいけど、今回は即答してくれたみたいで安心したよ(笑)。この映画を素晴しいものにするためには、私とトファーの相性は最も重要だった。彼は才能ある俳優で、スマート。自分よりずっと年下だけど尊敬もしている。彼も私のことを良きメンター(=助言者、信頼のおける指導者)だと言ってくれた。撮影中はもちろんのこと、実生活でも同じように良き相棒になれたと思うよ」

――マーティン・シーンの出演は、あなたが推薦したそうですね?

「CIA長官トム役には彼が適任だと思ったんだ。マーティンはすごく堅実で、とても温かい人間だ。そしてそれこそがポールとトムの関係にほしかった要素だと思っている。だから製作陣にもそう言ったんだ。私たちには共通点がある。ふたりともキャリアのスタート地点でテレンス・マリック監督と仕事をしている。私は『天国の日々』(83)、彼は『地獄の逃避行』(日本未公開)でね。その頃から互いに敬意を持ち、意識をしていて、共演に最適な作品を長い間探していたんだ。これでやっと夢の一つが叶ったよ」

――完成した作品を見た感想を聞かせてください

「素晴らしかった。脚本が優れていたから心配はしていなかったけど、完成した作品はそれ以上のできだと思う。脚本を読んでいるからクライマックスのオチがわかっていたはずなのに、危うくだまされそうになったよ(笑)。そんな作品に参加できたことを誇りに思う」

――常にハリウッドの第一線で活躍していらっしゃいますが、何か秘訣はありますか?

「なかなか私は、スクリーンからいなくならない俳優だよね(笑)! 62歳になった今でも、役者で生計を立てていられるのは非常に幸運なことだと思っているんだ。ただ、人々が僕を見るためにお金を払っていることは、未だに理解できないけどね(笑)」【Movie Walker】

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