藤原竜也、はやぶさを語る「2番や3番はダメ。絶対1番じゃないと」

インタビュー

藤原竜也、はやぶさを語る「2番や3番はダメ。絶対1番じゃないと」

藤原竜也主演で、小惑星探査機はやぶさの偉業を描く3D映画『おかえり、はやぶさ』(3月10日公開)。本作で藤原が演じたJAXAのエンジニア助手・大橋健人は、架空の人物であっても、JAXAの人たちのいろんな要素が盛り込まれたリアルなキャラクターだ。実際にJAXAの人たちと触れ合い、彼らの思いを役に投影したという藤原にインタビュー!

元々、宇宙に関して興味を持っていたという藤原。「宇宙空間が大好きで、いまだにUFOを見てみたいと思っているし、はやぶさもリアルタイムで追っていました。本作はいろんなタイミングが合って出演でき、とても嬉しいです」。

JAXAの人たちから多くの情報を得た藤原だが、健人の人物像に一番近いと感じたのは、ある若手スタッフだったという。「日本のプロジェクトの予算はNASAの10分の1だそうです。でも、NASAに対しては敵対するというより、共に歩み寄って共同で作業をしていくべき相手だと彼は言ってました。それよりも負けちゃいけない存在はアジア、もっと言うと中国だと。彼がそう熱く語っているのを聞いて、その思いを持って現場に入ろうと思ったんです」。

小惑星イトカワの岩石サンプルを持ち帰るという人類初の快挙を成し遂げたはやぶさ。本作では、はやぶさだけではなく、運用停止となった火星探査機のぞみや、今後の宇宙探査を担うイカロスのエピソードも描かれる。藤原は「本作に出演する前と出演した後では、宇宙開発に対する考え方が大きく変わりました」と真摯な表情を見せる。

「もしも、はやぶさが失敗していたら、日本の宇宙開発はどうなってしまったんだろうと思いました。やっぱり2番や3番ではダメで、絶対1番を取らなくてはいけなかったわけで。のぞみの強烈な失敗で税金を無駄にしたと大バッシングを受けたから、はやぶさで伸るか反るかで勝負をしたわけです。実際にトラブルに次ぐトラブルで、ここまで苦労していたのかと。広大な宇宙空間で46日間も通信が途絶えた時、通常は見つかるなんてことはありえないのに、奇跡を瞬間的にキャッチした。それだけで涙が出ます。それを目の当たりにした時、先生方の思いは本当に大事にしようと思いました。挫折しても、JAXAのチームのように思い続けていれば、世の中を変えていけるんだと」。

今回、健人に成り切れたのは、周りの共演者の力も大きかったと言う。「(前田)旺志郎や杏さんとかがすごくナチュラルな感じで、自然と僕を健人として現場にいさせてくれたんです。旺志郎は僕と初対面で会った時、『はやぶさって何なん?』って聞いてきて(笑)。興味があるのは『アイアンマン』や『トランスフォーマー』、虫だそうです。それを聞いた時、こんな素晴らしい天才と共演できるのかって思いましたね。僕は元々まえだまえだの大ファンで『僕、お前のことすごく好きなんだよ』って言ったら、シャイなヤツだから照れてました」。

「現場での出会いは大きいです」と続ける藤原。「三浦友和さん、大杉漣さん、豊原功補さん、(中村)梅雀さんなど、先輩たちも良い緊張感を僕に持たせてくれました。どの仕事でも出会いによって左右されるし、考え方も変えていけるんです。『はやぶさ』のチーム内も温かくて、今後監督やキャスト、スタッフと会っても、『はやぶさ』やったよねという会話で始まれるんだろうし。俳優の仕事は、そういうことの蓄積なんでしょうね」。

JAXAのプロジェクトチームの熱い思いを代弁した『おかえり、はやぶさ』。松竹配給の本作は、3Dで映し出されるダイナミックな映像はもちろん、藤原竜也たちが敬愛の念を込めて体現した、力強いドラマを大画面で堪能したい。【取材・文/山崎伸子】

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