現代版『エレファント・マン』? あの名画そっくりに生まれた青年の悲劇とは
何か叫びにならない叫びを見る者に訴えかける、ノルウェーの画家エドゥアルド・ムンクの名作「叫び」。その名を知らなくとも、誰しもがその絵を見たことがあるはずだ。そんなムンクの「叫び」にインスパイアされた異色作『ムンクの叫び』が5月26日(土)から公開される。
本作の主人公、赤沼かずおはまさにムンクの「叫び」のような醜い顔で生まれた少年。幼い頃から“ムンク”のあだ名でいじめられ、アパレル企業の社長である父親は世間に出せないという理由から、かずおに整形手術を受けさせようとする。だが、彼は麻酔アレルギーで顔に麻酔をかけることができない。やがて、いじめから引きこもりとなるも、デザイナーとしての才能を認められ、父の会社の影のデザイナーとして働くようになる。
醜い顔で生まれてしまったがために、不幸な一生をたどることになる少年の姿は、まるでデヴィッド・リンチ監督の名作『エレファント・マン』(80)やミュージカルの名作「オペラ座の怪人」の主人公を彷彿とさせる。他の人と同じ人間なのに、醜い外見を持ってしまったために迫害される姿が物悲しい。
経歴不詳の役者・中野淳史にテレビドラマ「怪物くん」や「妖怪人間ベム」などの特殊メイクを担当した梅沢壮一がメイクを施し、ムンクそっくりのビジュアルを作り上げた。リアルなキャラクターが生み出す悲劇を通して、色々と考えさせることの多い作品だ。【トライワークス】
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