優香の「お母さんと呼ばれたい」にすかさず美山加恋が一言!
美山加恋と優香が母娘役で声優を務めた長編アニメーション『もものへの手紙』が4月21日(土)公開初日を迎え、美山や優香、西田敏行、沖浦啓之監督が登場し、丸の内ルーブルで舞台挨拶を行った。映画にちなんだ“父から娘への手紙”キャンペーンの授賞式も併せて行われ、親子愛の素晴らしさと温かな空気に包まれたイベントとなった。
父が娘に遺した手紙がキーポイントとなる本作では、“父から娘への手紙”を募集するキャンペーンを実施。この日、舞台挨拶の冒頭には、そのキャンペーンの授賞式が行われた。応募作品431通の中から最優秀作品に輝いた受賞者の佐渡泰さんと娘の仁美さんが登壇。父の泰さんは、受賞作品である「ひとり暮らしを始めた仁美ちゃんへ」と書かれた手紙を朗読した。娘が生まれてまもなく妻を亡くし、一人で育て上げた父親の娘への愛にあふれた手紙に、涙もろいことで有名の西田はもちろん、美山や優香も涙を浮かべた。
この日、初めて手紙の内容を知った仁美さんは「ふたり暮らしが嫌だなと思っていた時もあるし、父のことを好きとは言い切ることはできませんが」と、多感な年頃の娘の正直な気持ちを口にしながらも、「でも私を支えてくれる唯一の肉親ですので、これから時間をかけて親孝行していきたい」という言葉を聞くと、西田の瞳から大粒の涙があふれた。選考委員を務めた湯崎広島県知事は、“知事として初の育児休暇を取った知事”としても注目を集めたイクメン知事だ。湯崎知事は「私も5歳の娘がいるので、将来こんな気持ちになるのかと思いました」とコメント。西田は「私は完全なアナログ人間ですが、これでまた娘さんへの手紙を綴ってください」と泰さんへ副賞のiPadを手渡した。
授賞式後、改めて本作の舞台挨拶が行われ、本作の主人公ももの声を担当した美山は、公開初日を迎えたことについて「とっても嬉しいです! 作品に参加させていただいてからから一年半経っていて、今、高校一年生です。すごい昔だなと不思議な気分です」と語った。母親役の声を担当した優香については、優香さんはお姉さんのような存在だったんですが、お母さんに接するようにできました」とコメント。一方の優香は、「加恋ちゃんは小さい頃からテレビで見ていましたが、あの子がこんなに大きくなったのかとびっくりしました。女性として一番成長してキラキラしている時期に、母親のような気持ちでずっとそばにいたので、お母さんと呼ばれたいくらいの気持ちです」と話すと、すかさず美山は「お母さん」と呼び、息の合った掛け合いを見せた。子役として芸歴の長い美山ならではの空気の読める言動に、優香も「娘よ!」と応え、会場は笑いに包まれた。
劇中、慣れない生活に戸惑うももは、不思議な妖怪“見守り組”と出会う。妖怪の一人、イワの声を演じた西田敏行は、「ここのところ、人間の役をやってない気がする。この間は落ち武者の幽霊だったし」と話しながらも、「親子って難しいんですよね。なかなかうまくコミュニケーションとれない時がある。僕も母を亡くして、いなくなってから存在の偉大さを感じた。見えないものも見えるものにも愛があふれている、日本人としての温かい気持ちを取り戻してもらえると思う」と映画の内容に太鼓判を押した。
メガホンを取った沖浦啓之監督は、7年越しの構想を経て、家族の愛を描いた本作について、「今日、皆さんに集まっていただけたことが何よりも嬉しい。ひたすら一日、一日の積み重ねがこういう形になった。妖怪たちが出てくる面白い作品を作りたいという思いと、亡くなってしまった人との距離の取り方や考え方を、映画として表現できないかなと思って作りました」と作品に込めた熱い思いを語った。
最後に美山は「素晴らしい作品ができました。最後の最後まで画にも話にも、愛があれふれているので、最後までじっくり見てください」と観客へメッセージを送り、舞台挨拶を締めくくった。
瀬戸内海の小さな島を舞台に、豊かな自然と家族愛を美しい映像で描き出す『ももへの手紙』。ももは、不思議な妖怪たちとの交流を重ねながら、やがて母の思いに気付き、“大切な思いを伝える”奇跡を起こしていく。原由子の歌う主題歌「ウルマシマホロバ 美しき場所」を聴きながら、感動とファンタジーに包まれた作品を堪能してほしい。【取材・文/鈴木菜保美】