『ぼくたちのムッシュ・ラザール』の監督「子役でもヘビーな題材を理解できる」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
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インタビュー 2012/7/12 14:55

『ぼくたちのムッシュ・ラザール』の監督「子役でもヘビーな題材を理解できる」

2011年度トロント国際映画祭の最優秀カナダ映画賞を受賞し、第84回アカデミー外国語映画賞にもノミネートされた珠玉の一品『ぼくたちのムッシュ・ラザール』(7月14日公開)。本作では、小学校教師の突然の死を巡り、傷ついた子供たちと、新しく赴任してきた教師との心の触れ合いが丹念に綴られている。本作のキャンペーンで来日したフィリップ・ファラルドー監督にインタビューし、撮影秘話を聞いた。

各国の映画祭に祝福された本作。その理由を監督はどう受け止めているのか?「舞台が小学校であるってことが大きかったと思います。小学校はとても普遍的で、誰もが親近感を持てます。また本作は、少しずつ段階を経て感動を引き起こしていくからじゃないかと。スペクタクルなことが起こるわけではないけど、じわじわと心を動かしていくところでしょうか?」。

主人公は、カナダの小学校へ赴任してきた風変わりな教師ラザール。彼は祖国で心の傷を負い、カナダへ亡命してきたアルジェリア移民だが、担任教師の死に衝撃を受けた子供たちの心に寄り添っていく。演じるのは、同じアルジェリア出身のコメディアン、フェラグだ。「フェラグさんをキャスティングしたのは、彼が移民だったからではないです。でも、結果的に彼に決まり、彼自身の亡命経験が役作りに生かされた点は幸いでした。実際に彼は、ラザールがたどる道のりを非常に尊重し、亡命者という役柄を自分の内面に取り入れて演じてくれました」。

本作では、子役たちもかなりナイーブな演技を見せている。特にアリス役のソフィー・ネリッセや、シモン役のエミリアン・ネロンの演技が白眉だが、子役への演技指導はどのようにして行ったのか?「彼らとは、たっぷり時間をかけて、今回の題材を扱っていきました。オーディションの時から物語に触れているし、リハーサルもかなり重ねたんです」。

さらに監督はこう続けた。「子供にこういうヘビーな題材をやらせるのはどうか?と疑問に思う人もいるかもしれない。でも、実は11、12歳の子供たちは、既にこういう重い題材について議論をするだけの能力や受け皿は持っていると、僕は思うんです。きっとラザール先生もそのことをわかっていたんだと思います。私自身も子供の頃、大人に真面目な質問をすると、『君はまだ子供だからわからないよ』って言われて、疑問に思ったりもしました。でも僕は、もし子供が重大な問題にぶち当たったら、大人たちは子供たちと話す方法を見つけるべきだと思っています」。

人が底知れぬ悲しみに遭遇した時、どう向き合い、どう乗り越えていくのか?ラザール先生は、子供も一人の人間として扱い、真摯に手を携えて歩こうとする。教育の場において一番大切なものが『ぼくたちのムッシュ・ラザール』の中で綴られている、そんな珠玉の一本だ。【取材・文/山崎伸子】

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