『苦役列車』前田敦子が森山未來に「好きです!」とキュートな笑顔で大胆愛の告白!?
芥川賞を受賞した、西村賢太の自伝的小説の映画化『苦役列車』。初日舞台挨拶が、7月14日(土)に丸の内TOEIで開催され、森山未來、高良健吾、前田敦子、マキタスポーツ、そして山下敦弘監督が登壇。森山は「お金も友達もない主人公。彼のエネルギーにたくましさを感じた」と、難役とも思える役柄への愛情たっぷりに語った。
西村を思わせる主人公、北町貫多は19歳の日雇い労働者。バブル前夜の1980年代中盤、浮かれる日本の片隅で、ひねくれた青春を送る貫多の姿がユーモラスに描かれる。『どんてん生活』(99)や『天然コケッコー』(07)など、青春のもやもやや可笑しみを追いかけてきた山下監督がメガホンを取る。“19歳の青春”が描かれることにちなんで、自身の“19歳”を振り返った一同。森山は「四国のあたりで、愛を叫んでいました(笑)。『東京に負けるもんか!』という気合もあったし、とにかく人を否定したかった。貫多のような部分もなきにしもあらずだった」と、自らを役柄と重ね合わせた。高良は「あの頃は、今よりも人前に出てしゃべるのが好きじゃなかった。今は大丈夫です」、監督も「なんでもできると思って、ラップに挑戦したりした。心が折れて、自分には映画しかないんだなって(笑)。恥ずかしいけど、多感な時期だった」と、青春期に思いをはせた。
一方、7月10日に21歳になったばかりの前田は、まさに青春真っ只中。「今、車の教習場に通っていて、もうすぐ仮免なんです。絶対にとってやるって思っています!」と意気込みを語り、拍手を浴びた。続けて「占いで運転の素質があるって言われたんです。信じて色んなところに行ってみたいと思います。都内は危ないと聞くので、沖縄とか真っ直ぐな道を走りたい」と嬉しそうに語ると、マキタスポーツからも「自由な子だね」と突っ込みが入り、会場の笑いを誘っていた。
また、コンプレックスにまみれ、屈折しまくった主人公の貫多。貫多の魅力を聞かれた前田は「分かりやすい人なので、すごく可愛いと思った。森山さんのことが好きなのか、北町貫多のことが好きなのか分からないけど、好きです!」と、愛くるしい笑顔で告白。これには森山も、汗をかいて照れ笑いを浮かべていた。
そして舞台挨拶の最後には、原作者の西村賢太も駆けつけた。「場違いな中に来てしまいました(笑)」と恐縮しながら、「小説書きとして終わりかけていた時に書いた作品で、非常に思い入れがある。息を吹き返して、こうして映画になって、とても嬉しく思っています。妙なずうずうしさ、しぶとさのある小説。皆さんも持っているそこの部分に共鳴していただければ、こんなに嬉しいことはない」と、真摯なまなざしで語ってくれた。孤独や閉塞感を描きながらも、ユーモアに満ちた愛すべき青春映画に仕上がった本作。“苦役列車”に乗り込んで、生き生きとした表情を見せるキャスト陣の熱演も楽しみに、是非とも劇場へ足を運んでほしい。【取材・文/成田おり枝】