空腹時は鑑賞要注意!?母の手料理を思い出す温かいドキュメンタリーって?
素朴な味つけと健康への配慮から、誰もが愛してやまない家庭料理。近年ではファストフードや店屋物で簡単に食事を済ませてしまう人が増えているだけに、ますます需要が高まっているとも言えるだろう。そんな家庭料理ができあがっていく様子をじっくり撮影したイラン発のドキュメンタリー『イラン式料理本』が9月15日(土)より公開される。
監督を務めたモハマド・シルワーニが、自身の妻や母、祖母、妹など、7人の女性にお得意のレシピを作ってもらい、その料理ができるまでの過程を撮影したのが本作だ。彼女たちがカメラに語りかけながら調理をする風景が淡々と続いていく作品でありながら、気づけばそこに様々な人間模様や、果てはイランの社会事情までが浮かび上がってくるのだから不思議だ。調理や食事という儀式が、人間にとって大きな意味を持つものであることを再認識させられてしまう。
とはいえ、やはり目を惹くのは本当に美味しそうなイラン料理の数々だ。ナスの煮込みなどのシンプルな料理から、宝石ピラフなる一風変わったレシピ、それからイランの伝統料理であるドルマ(ブドウの葉包み)やクフテ(ジャンボ肉団子)まで、本作には思わず食欲をそそられてしまう家庭料理がたくさん登場している。そのほとんどが日本食とは似ても似つかない料理ばかりだが、それでも母の手料理を思い出してしまうという人も多いのではないだろうか。
美味しそうな料理に加え、イランの素朴な台所風景が何とも温かな本作。あなたも劇場に足を運んで、その温かみを感じ取ってみてほしい。【トライワークス】
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