天才バイオリニストの叶わなかった恋を描く『チキンとプラム』の本編映像が初公開

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天才バイオリニストの叶わなかった恋を描く『チキンとプラム』の本編映像が初公開

自伝的コミックを自ら映画化した『ペルセポリス』(07)で第60回カンヌ国際映画祭審査員賞に輝いたマルジャン・サトラピ。彼女が再び自身のコミック「鶏のプラム煮」を、初の実写映画『チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢』(11月10日公開)を撮り上げた。

今回公開された映像は、マチュー・アマルリック演じるナセル・アリが、恋人であるイラーヌ(ゴルシフテ・ファラハニ)との結婚を彼女の父親に拒絶され、胸を引き裂かれなか別れざるを得なかった悲恋の恋を描き出している。

本作は、第68回ヴェネチア国際映画祭を皮切りに、第36回トロント国際映画祭、第24回東京国際映画祭など、世界中の映画祭でチャーミングな旋風を巻き起こし、『ペルセポリス』の成功が一時的なものでないことを証明した。何より国境を越えて観客の心をつかんだのは、その大胆なストーリー展開だった。オープニングから数10分のプロローグに当たるパートで、主人公の天才バイオリニストが死を決意し、8日後に亡くなるという結末が明かされてしまうのだ。だが、そこから始まる主人公のユーモアとロマンに満ちた人生の追憶の旅に同行すれば、もう一つのサプライズラストが待ち受けている。哀しく切なく、胸を締めつけられる、そんなひと時を与えてくれる大人の愛の物語が誕生したのだ。

大切なバイオリンを壊され、8日後に死ぬことにした天才音楽家ナセル・アリは、ベッドに横たわり、死を待ちながら人生を振り返る。「技術はあるが、おまえの音は空っぽだ」と、師匠に叱られた若き修行時代。本物の音色を見つけ、絶大な人気を獲得し、演奏旅行で世界各地を飛び回った黄金時代。人生最大の失敗となった愛のない結婚。何よりも怖く、誰よりも大切な母の死。大好きなソフィア・ローレン。大好物のチキンのプラム煮。そして今なお胸を引き裂くのは、叶わなかったあの恋だった。

コミカルとロマンティック、リアルとファンタジーを行き来するマルジャン・サトラピ監督独自の世界観が導く、様々な味わいが楽しめる映像を是非とも劇場で堪能してもらいたい。【Movie Walker】


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