映画はフィルムかデジタルか?スコセッシ、キャメロン、ルーカスら巨匠監督にキアヌが突撃取材!
「業界を破壊する悪魔の化身」。あの『スター・ウォーズ』(78)を大ヒットさせたジョージ・ルーカスは、かつてそう呼ばれたそうだ。早くからデジタル技術を実験的に取り入れ、デジタル専門の部門・ILMまで立ち上げたルーカス。当時の業界関係者は、突如として現れた新しいメディアに恐れ、驚いたに違いない。そして、未知のデジタルに対する拒否反応は相当強かったのだろう。
現在はというと、もはや映画業界の標準はデジタルへとほぼ移行し、フィルムは影を潜める状態だ。「フィルムの時代は終わり、デジタルシネマの時代が到来した」などと言われて久しく、今年に入ってからは米イーストマン・コダックが破産法を申請し、富士フイルムが映画用フィルムの生産終了を決めたりと、その流れは加速の一途をたどっている。
そして、フィルムとデジタルの現状を見つめたドキュメンタリー映画『サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ』が12月22日より公開されている。巨匠と呼ばれる映画監督や映画関係者に、キアヌ・リーヴスがインタビューするという珍しい形式の本作。見どころは何といっても取材対象となっている監督たちの姿勢だ。
デジタルという新しいメディアに対して、「ワクワクしている。新たな手段は有効に使えば良い」と語るマーティン・スコセッシや、「デジタルの登場で、可能性の扉が開いたように感じた」と振り返るジェームズ・キャメロン。デヴィッド・リンチは「全員に紙と鉛筆を持たせたからといって、秀逸な作品がたくさん生まれるわけじゃない」とし、作品の面白さにはフィルムもデジタルも関係ないとする。また、『マトリックス』シリーズを手がけたウォシャウスキー姉弟はデジタルカメラが登場したことで「限られた人たちのみによって作られてきた芸術が、多くの人々に開放された」と、デジタルの利点を強調している。
それとは対照的に、フィルムにこだわって映画を作り続けている映画人も登場する。『ダークナイト ライジング』(12)のクリストファー・ノーランは「デジタルメディアによって可能なことは、一見、魅力的だが中身がない」と一刀両断。同じく『ダークナイト ライジング』の撮影を担ったウォーリー・フィスターも「油彩画を捨ててクレヨンを使うようなものだ」と、デジタル全盛の現状を嘆いている。
『サイド・バイ・サイド』では他にもデヴィッド・フィンチャーやスティーブン・ソダーバーグ、ダニー・ボイルなどの有名監督が「フィルムか?デジタルか?」という問いに答えている。果たして有名監督たちは何を語るのか。2つのメディアが併存する現在、映画の未来を占う意味でも見ておいて損はないはずだ。【トライワークス】