収益率は『アバター』以上!50年以上前に大儲けした3Dポルノ映画とは?
3D元年と言われた2009年に公開されたジェームズ・キャメロン監督の3D映画『アバター』が、世界興収歴代1位となる約28億ドル(特別編を含む)を叩き出して以来、各映画会社ともこぞって3D映画を放っている。お正月映画を見ても、『ホビット 思いがけない冒険』(12月14日公開)、『フランケンウィニー』(12月15日公開)など、3Dの超大作がラインナップされているし、『アバター』の続編情報でも話題沸騰だ。でも、実は今から50年以上前に、『アバター』よりも高い収益率を上げた3Dポルノ映画があったことはご存知だろうか?
その映画こそ、3Dポルノ映画『淫魔(The Stewardesses)』である。製作費がたったの10万ドル(当時約3600万円)で、全世界で2500万ドル(当時の価格で約90億円)という奇跡の興行収入を上げたのだ。
3D映画の歴史を紐解く「3D世紀 驚異!立体映画の100年と映像新世紀」によると、3Dポルノ映画の先駆者は、米国のクリス・J・コンドンだという。コンドンは、シングル式3D撮影・上映のシステムを開発したアラン・シリファントと共同で、マグナビジョン社を設立。後にステレオビジョン・インターナショナル社と改名し、自社のシステムも「マグナビジョン」から「ステレオビジョン」と呼称を変更した。そのシリファントが、アルフ・シリマン・ジュニアという偽名で製作・脚本・監督を務めたのが、キャビンアテンダントたちの赤裸々なセックスライフを描いた『淫魔』なのだ。
本作は、全世界で3年ものロングラン上映が続き、当時日本の新宿東急でも一般公開されたという。『アバター』の製作費が2億7300万から3億ドルと言われているが、その興行収入との比率で比べると、いかに『淫魔』が大成功を収めたかがわかる。もちろん、2匹目のどじょうを捕まえるべく、当時、次々とポルノ3D映画が製作されたという。
ちなみに、日本では、関孝二監督が1967年に国内初の3Dピンク映画『変態魔』を完成させたそうだ。これは、変態行為や殺人シーンで、アナグリフメガネをかけると、映像が飛び出す仕組みのものだった。実に気になるところだが、当時のピンク映画は、フィルムがほとんど現存していないという。何とも残念だ。
今や3D全盛期となり、様々なヒットメーカーが3D映画を手がけている。特にピーター・ジャクソン監督の『ホビット 思いがけない冒険』では、これまでの毎秒24フレームを2倍の48フレームにした最新鋭のHFR 3Dを採用しているということで、より迫力のある映像体験ができそうな予感!
3D映像の技術は日々進化しているが、だからこそ、これまでの紆余曲折を経たヒストリーは実に興味深い。そんな3Dのこれまでの歩みをまとめた「3D世紀 驚異!立体映画の100年と映像新世紀」には、知られざる裏話が満載だ。なかにはクリント・イーストウッドなどの大物監督の3D映画にまつわるエピソードも入っているので、是非手に取ってみてほしい。【文/山崎伸子】