笹本稜平の小説「春を背負って」が木村大作監督によって映画化!
笹本稜平の小説「春を背負って」が木村大作監督によって映画化されることがわかった。菫(すみれ)小屋を舞台に、家族と、そこに集う人たちの力強い生き方と温かな交流を描いた、それぞれの居場所を求める人間ドラマだ。
日本映画史に残る大作『八甲田山』(77)をはじめ、数々の作品でカメラを回し続けてきた木村監督は、冬山での厳しい自然環境のもとで撮影が行われた『劔岳 点の記』(09)が、初監督作品として日本アカデミー賞で最優秀監督賞など数々の賞を受賞。興行収入25.8億円、観客動員200万人を突破するヒットとなった。原作について、木村監督は「出版されてすぐ、そのタイトルに惹かれて手に取りました。人間は何かを背負って生きているもの。『背負って』という言葉に、私はピンと来ました」と語った。
原作の舞台は奥秩父だが、映画の舞台は360度、どこをとっても画になる、かつ日本中の山々を見渡すことができる立山連峰に変更。その変更理由について、木村監督は「私は山の映画を撮影するのに、最も適した場所は立山連峰だと思います。標高3000mを超えるところにある山小屋を舞台に描かれる人間ドラマと共に立山連峰の四季を撮影します(一部は都内のセットでの撮影を予定)」と自身をみせる。
『劔岳 点の記』以降、「やり残したことはない、あれ以上のことはできない」と、確信もあったという木村監督だが、「創作は止められないし、『剱岳 点の記』以上のものを作りたいという欲が出てきました。映画を創るうえで、監督として新しいものを生み出していくということは楽しい。『劔岳』にも人生を賭けた。再び、私はこの『春を背負って』に人生を賭けたい。この映画が封切りになる2014年、私は75歳になります。自分のバイタリティが続く限り、創作活動は続けていきたいです!」と意欲満々だ。
主人公は、立山連峰で父と共に幼少期を過ごした亨(とおる)。広大な自然を前に息子に厳しく接する父親とそれに反発する息子。社会人となった亨は、幼少期とは対照的な金融の世界で金が金を生み出すトレーダーとして歯車となって日々を過ごしていたが、父の訃報が突然届く。通夜のため帰って来た亨だが、久々に山に触れたことをきっかけに、生まれ育った故郷に戻り、父の山小屋を継ぐことを決意する。都会とは違う、山での生活に苦労する亨だが、昔と変わることのない山の自然に心を癒されていく。そんなある日、亨の前に、亡くなった父の友人を名乗る不思議な山男ゴロさんが現れる。
脚本は『イキガミ』(08)、『星守る犬』(11)の瀧本智行が担当。映画『春を背負って』は、富山県の立山連峰を中心に2013年4月から11月までの8ヶ月に及ぶ大規模な撮影が行われる予定、2014年に公開だ。【Movie Walker】