沖縄基地問題に挑む『ひまわり』、須賀健太が「若い世代への案内役になれて嬉しい」と万感の思い
沖縄復帰40年企画作品『ひまわり 沖縄は忘れないあの日の空を』(2013年1月26日公開)の完成披露試写会が、12月14日に有楽町朝日ホールで開催。舞台挨拶に長塚京三、須賀健太、福田沙紀、主題歌を担当したCiviliann Skunk、及川善弘監督、脚本の大城貞俊、製作委員会代表の桂壮三郎が登壇した。沖縄の基地問題や日本の平和を問う本作。主演の長塚は「現地に行って、沖縄の日差しや海、音楽に触れてじわじわと役作りをした。中身の濃いロケーションでした」と充実の撮影を振り返った。
本作は、1959年に米軍のジェット戦闘機が宮森小学校に墜落した「石川・宮森ジェット機墜落事故」と、2004年に起きた沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故をモチーフに描くヒューマンドラマ。長塚が、少年時代に事故で友人を亡くした過去を持つ主人公・良太役を演じ、沖縄の悲劇に挑む。長塚は「俳優として一番好きなことは、若い人たちと一緒にやること。短い間でしたが、とても楽しくやることができた。ありがとう」と感謝の言葉を述べた。
良太の孫、琉一役に扮した須賀も「長塚さんの表情を見ていると、とても勉強になった」と、先輩から大いに刺激を受けたようだ。「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズなど、子役のイメージから脱却して、今回は大学生役にチャレンジしている須賀。「恋人のいる役も、実年齢より上の役も初めて。(恋人役の)能年玲奈さんがすごい可愛くて。本当に好きになるような気持ちで演じました」と照れ笑いを浮かべると、会場も温かな笑いに包まれた。
「事故のことは知らなかった」と口をそろえた須賀と福田。須賀は「今回の作品を通して勉強することができたし、僕らのような若い世代に何かを伝えていける案内役になれて嬉しく思います」と、未来を担う世代として熱っぽくコメント。沖縄の若い世代を代表する言葉を語ったのがCiviliann Skunkだ。「この映画を見ることによって、沖縄国際大学の事件も本当の意味で知ることができた。沖縄に生まれて育った僕たちが、しっかりとこの問題を見つめていくことが大事。映画が良いきっかけになりました」。
メガホンを取った及川監督は「私は1958年の生まれで、宮森小学校の事件はこの映画に関わるまで知らなかった。沖縄国際大学の事件のことも、どこか他人事のようにとらえていた。この映画の監督を務めて、基地を抱える沖縄の痛みを感じるようになった」と振り返り、「これからも沖縄の問題には終わりがない。登場人物に心を重ねて、皆さんの問題として受け止めてほしい」と力強く訴えた。本土復帰から40年経った今も尚、戦後の傷跡を背負っている沖縄。それぞれが沖縄への思い、そして次の世代に受け継ぐ使命感を語るなど、熱のこもった舞台挨拶となった。【取材・文/成田おり枝】