なだぎ武『デメキング』インタビュー(1/2)
■「役どころ聞いたら18歳の役だっていうんで。嘘やろこれ、と思って(笑)」
なだぎ武扮する「ビバリーヒルズ青春白書」の色男、ディラン・マッケイのアメリカン・ドラマ風コントがテレビに登場したのは、およそ3年前。なだぎ演じるディランに、ビバヒル世代は共感のツボを押されまくり、新鮮な笑いに感動すら覚えたもの。
ディラン・ネタは大ウケ、一躍表舞台に駆け上がったなだぎは、様々なキャラクターでお茶の間を沸かせるようになる。ピン芸人ナンバー1を決める「R-1ぐらんぷり」では、同大会では初となる2007、2008年と連覇を成し遂げるなど、その実力は証明済み。数多くのキャラクターを演じ分けるその演技力の高さは、演出家・宮本亜門も絶賛したという。
そんななだぎ武が、このたび映画に挑戦。“平成のつげ義春”の異名を持ち、マニアックな人気を博している漫画家・いましろたかしの同名コミックを、いましろ自ら脚本・絵コンテで参加した『デメキング DEMEKING』で初主演を務めている。
「憧れていた映画の仕事がやっとできるんだと思ってうれしかったんです。でも、役どころを聞いたら18歳の役だっていうんで。嘘やろこれ、と思って(笑)」
そう、なだぎ演じる蜂屋役はなんと高校生。未知のモノであるデメキングを信じ、いつか襲ってくるであろうデメキングに静かな闘志を燃やすという、なんとも異色のキャラクターだ。そんな蜂屋にはどんな印象を持ったのだろう。
「原作を読んだ時に、顔がちょっと似てるなと思ったんです。で、性格的な部分も、若い時の自分に似てるなと(笑)。素のなだぎ武っぽいところがあったので、そういうのも感じて、監督は『なだぎでやりたい』と思ってくれたのかなと思ったくらいです」
「蜂屋は、デメキングに対して自分の中で軸がブレずに、まっすぐに追い求めるような男。自分も若い頃は、自分が好きになったものが一番だと思っていたんです。人の話を聞くよりも自分の知識が一番だというような、ま、ちょっと変なヤツだったんですよ。クラスの中でも輪の中に入らないタイプで、輪の外から人を見て、帰ってから1人でそいつのモノマネしたり(笑)。今となっては、それがネタ作りに役立ってますけどね(笑)。高校生の頃とか、この世界に入ってからもそんな感じのニュアンスは残ってました」
自分の信じる道が一番と思い込む自信過剰さゆえに他人を寄せ付けない男、蜂屋。振り切ったキャラクターを演じ、笑いを提供している彼が、実は蜂屋タイプだったという。※続きは2/2へ 【取材・文/成田おり枝】