公開30周年を迎えても色あせない衝撃作『セブン』。4K版IMAX上映にあたって、劇場で見直したくなる7つのトリビア
デヴィッド・フィンチャーの名を世に知らしめた衝撃作『セブン』(95)が、全米公開30周年を記念し4K修復版にてスクリーンに帰ってきた。ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン、ケヴィン・スペイシー共演の本作は、「七つの大罪」になぞらえた連続殺人事件に挑む刑事を描いたノンストップサスペンス。そこで、本作をより深く楽しむための7つのトリビアと共に、見どころを紹介する。
※本記事は、映画のネタバレ(ストーリーの核心に触れる記述)に該当する要素を含みます。未見の方はご注意ください。
1. ブラピの大けがによって変更された脚本
映画最大の見せ場のひとつが、ブラピ演じる新人刑事デヴィッド・ミルズと容疑者ジョン・ドゥの追走劇。突然発砲してきたドゥを追って、ミルズはアパートや雨の街を駆け巡る。このアクションシーンの撮影中にブラピは大けがを負ってしまい、そのため脚本が書き換えられることになった。事故が起きたのは、ミルズが3台の車の上を飛び移りながら車道を渡るシーン。降りしきる雨の中、何度も滑りながら車の上を移動していたブラピは、3台目の車の上でバランスを崩しリアウィンドウを突き破って車内に転落。起き上がろうとフレームに手をかけたとき、割れたガラスで左手の腱と神経を切ったのだ。手術後はギブスによる固定が必要となり、急きょ脚本を修正。ミルズがアパートの非常階段からサンシェードに落下し、ケガをする流れになった。なお指から手首にかけて強く締め付けたためギプスから出た左親指が紫色に変色。フィンチャーによると、ポスプロ時の色調整も大変だったという。
2. 幻に終わった『セブン2』になりかけた『ブレイン・ゲーム』
大ヒット作につきもののシリーズ化。刑事コンビものでも、古くは「フレンチ・コネクション」から「リーサル・ウェポン」、「バッドボーイズ」など人気作がシリーズ化されてきた。『セブン』の大ヒットに気をよくしたニュー・ライン・シネマもさっそく続編を模索。そして目を付けたのが、『オーシャンズ11』(01)の脚本家テッド・グリフィンとショーン・ベイリーが96年に書いたオリジナル脚本『Solace』だった。刑事と超能力者が連続殺人事件に挑む本作を、製作陣はベテラン刑事サマセットを超能力者として再登場させる奇策で無理やり続編に変更。2002年には『Ei8ht』のタイトルで製作発表も行った。ところが『セブン』でサマセットを演じたフリーマンやフィンチャーらが反対し、続編は幻と化した。『Solace』は宙に浮いたまま月日が流れ、2015年にオリジナルどおりの設定でアンソニー・ホプキンス主演作『ブレイン・ゲーム』として映画化された。
3. 数々の名作たちが撮影された伝統あるロケ地が使われた図書館のシーン
現場に残されたメッセージから犯人が“七つの大罪”になぞらえて犯行を行っていることに気づいたサマセットは、図書館で七つの大罪に関する資料を収集する。このシーンを撮影した建物が、使われていないバンク・オブ・アメリカのビル。古くはダスティン・ホフマン主演のスリラー『マラソンマン』(76)やジム・キャリー主演のコメディ『マスク』(94)、サム・ライミ監督の『スパイダーマン2』(04)などの銀行シーンに使われた建物だ。なお巨大な書架が並んだ開架室は、ロサンゼルス近郊に雰囲気ある図書館がなかったためセットを建てて撮影した。