イギリスを代表する名優たちが等身大のシルバーエイジを好演
主に文化・学術・芸能・スポーツ面で著しい功績があった者に対して英国王室から叙任される称号の“ナイト”爵。ショーン・コネリーやイアン・マッケランなど、世界的な俳優陣が“サー”の敬称で呼ばれているが、女性はデイムの敬称で呼ばれる。大女優ジュディ・デンチとマギー・スミスが、そのデイムだ。彼女たちとイギリスを代表する名優たちが豪華共演を果たした話題作『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』が2月1日(金)より公開されている。
「神秘の国インドの高級リゾートホテルで、穏やかで心地よい日々を」という謳い文句と、美しいガイド写真に惹かれてイギリスからやって来たシルバーエイジの男女7人が、近い将来に豪華になる予定のボロホテルを舞台に繰り広げる群像劇でもある本作の最大の魅力は、何といってもベテラン俳優たちの魅力あふれる演技合戦だ。ジュディ・デンチとマギー・スミスのオスカー女優が共演するだけでも贅沢なのに、『ラブ・アクチュアリー』(03)で英国アカデミー賞助演男優賞に輝いたビル・ナイ、『フル・モンティ』(97)で英国アカデミー賞主演男優賞を受賞したトム・ウィルキンソンをはじめとする、イギリスの演劇界を牽引してきた名優たちが生き生きとした演技を見せてくれるのだ。彼らが演じるのは、亡くなった夫が遺した多額の負債によって家を処分せざるを得なくなったイヴリン、ある日突然、判事を引退したグレアム、本当はインドが嫌いなものの、手術のために渋々やって来たミュリエル、従順な官僚で恐妻家ダグラスとその妻ジーン、情熱的な恋を求めるノーマンと新しい夫を探すマッジといった、それぞれ事情を抱える人々だ。
007シリーズの“M”、『ハリー・ポッター』シリーズのホグワーツ魔法魔術学校副校長ミネルバ・マクゴナガル、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのフライング・ダッチマン号の船長デイヴィ・ジョーンズといった、ミステリアスかつファンタジックなキャラクターを好演してきた彼らが久々に演じる、人生の酸いも甘いもかみ分けた等身大のラブストーリー。1960・1970年代という今までにない世代のロマンティックコメディとしても、注目を集める一作だ。【トライワークス】