『リンカーン』に史実的間違い!スピルバーグに撮り直しプレッシャー?
第85回アカデミー作品賞有力候補と言われているスティーヴン・スピルバーグ監督『リンカーン』(4月19日公開)に、史実上の重要な間違いがあることがわかり、撮り直しを要求する声があがっている。
その間違いとは、コネチカット州代表の議員が奴隷制廃止に反対の票を投じたことになっているシーンだ。これは史実的には全く正反対で、コネチカット州は奴隷制廃止に賛成の票を投じたのだという。
コネチカット州の人々にとっては重要な問題であり、同州選出の議員が修正を求める見解を発表していたが、そうした史実的な誤りがあるにも関わらず、『リンカーン』は教材として全米の中学校や高校に配布されることに決まった。
「スティーヴン・スピルバーグはDVDが学校に送られる前に、問題のシーンを撮り直すか、『コネチカット』の部分の音声を『イリノイ』に吹替するか、どちらかをすべきだと思う。さもなくば、アメリカ中の学生たちがコネチカットはクレイジーな州だと思ってしまう」とニューヨーク・タイムズのコラムニスト、モーリーン・ダウドは書いている。
しかし、『リンカーン』の脚本を書いたトニー・クシュナーは、「より大きな歴史的真実を描くために、小さな事実を操作するのは許される」と主張しており、「歴史はドラマのルールに沿って進展しないことがあるからね。馬鹿げているよ。まるでリンカーンは緑色のソックスじゃなくて、青いソックスを履いていたと言っているようなものだ」と語っている。【UK在住/ブレイディみかこ】
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