優香流ポジティブ思考の作り方「ちょっと頑張ることで自分が好きになった」
532万部を突破、国民的ベストセラーとなったレシピ本を基に、映画『体脂肪計タニタの社員食堂』(5月25日公開)が誕生。最高に楽しくて、元気の出る痛快エンタテインメントに仕上がった。そこで主役を演じた優香にインタビュー!溌剌とした魅力を発揮した彼女に、「縁を感じた」という本作への思いを聞いた。
社員食堂・タニタ食堂のダイエットメニューが社会現象にもなった健康計測機器メーカーのタニタ。本作では、しっかり食べて、健康的にやせるアイデアが詰まったタニタ食堂のレシピ本を背景に、ダイエットの業務命令がくだった肥満社員、名付けて“ヒマン・スリー”の奮闘ぶりがコミカルに描き出される。
優香は、本作との出会いを「縁のあるお話だったと思う」と微笑む。「ちょうど本作の前に、写真集を出して。自分の体を見つめ直して、頑張って身体を絞って出来上がった写真集で、宝物ができたと思ったんです。今まで色々なことをやってきたけれど、本当に自分で胸を張れるものができたという経験をして、その頃、ちょうど自分のことが好きになっていたんですね。何かちょっと頑張ることで、自分に自信が持てたり、世界が開けていく。そんなに楽しいことってないですよね。そういうメッセージが、本作の脚本にも含まれていた」。
優香が演じるのは、元ポッチャリの落ちこぼれ栄養士・菜々子。危機感ゼロのお気楽社員ヒマン・スリーのお尻を叩き、啖呵を切ってみるなど、とにかく勇ましい女性だ。朗らかな印象が強い優香の、新たな一面が楽しめる。「(李闘士男)監督も私に対して、柔らかい人というイメージを持っていたみたいで。私は菜々子のように怒鳴ったりはしないけれど、でも、彼女に近い部分もあるんですよ。監督も撮影が終わる頃には、『優香さんは男だね』って(笑)」。
演じるうえで大事にしたのは、どういった点だろう。「菜々子自身も学生時代に太っていたので、自分にコンプレックスを持っているんです。菜々子が持っているのは、『みんなの気持ちもわかるから、応援したい!』という思いなんですね。それは忘れないようにしました。社員のみんなは本当にダメダメで(笑)。何回もくじけそうになってしまう。でも、それはすごく共感できることでもあって。人間ってそんなにすぐに変われるものじゃない。上から目線ではなく、同じ目線でみんなを応援して、お尻を叩いていました」。
自分を甘やかし、挫折感を味わうヒマン・スリーたち。そんな時、菜々子がダイエットの極意として話すのが、「自分を好きになること」というアドバイスだ。ポジティブな思考こそ、何かをやり遂げるエンジンになってくれる。本作に込められた思いに、優香も大きくうなずく。「私も挫折しそうになる時って、たくさんありますよ!もともと、すごく考えてしまう方で、しかも悪い方に、悪い方に考えてしまうんです。でも、考え過ぎたり、頑張り過ぎるほど、あまり良い結果にならないことが多い気がして」。
続けて、こう話してくれた。「『こうなったら嫌だな』と思ったら、そうなってしまう。なので、不安な時こそ『自分はすごい、自分はできる!』って自信を持つようにしています(笑)。自分を好きになったり、自分を盛り上げることが大事。あとは、私のことが大好きだと言ってくれる家族やスタッフさんに、たくさんほめてもらうとか(笑)。ほめてもらえると、『うん!頑張る!』と思えるので。そうやって助けてもらっています」。
何と、李闘士男監督も18kg減のダイエット経験があるとか!「監督は、“太っていることは悪だ”という映画にはしたくないと仰っていて。とにかく、おデブちゃんたちが可愛く見えることにこだわっていた」と話す。その言葉どおり、全編にわたって注がれるのは温かな視点だ。「ダイエットをテーマに、何かにチャレンジすることで、自分は変われるものなんだということを描いています。気負わずに見られて、見終わった時には、『ちょっと頑張ってみよう』と思わせてくれるんじゃないかな」。
タニタ食堂のレシピ本の映画化とあって、ダイエットのアイデアもギュッと詰め込まれた本作。エンタテインメントとしての楽しい味付けもたっぷり!是非、大きなエールを受け取ってほしい。【取材・文/成田おり枝】
ヘアメイク:木部明美(ピースモンキー)