第26回東京国際映画祭サクラグランプリはスウェーデン映画!授賞式の最後は「倍返し」
10月17日から六本木ヒルズで開催されていた第26回東京国際映画祭が10月25日に閉幕。クロージングセレモニーでは各賞の受賞式が行われた。東京サクラグランプリに輝いたのは、スウェーデン映画『ウィ・アー・ザ・ベスト!』だった。
メガホンをとったルーカス・ムーディソン監督は「驚きました。予想していませんでした。今日は原宿でおもちゃを買って、食事でもしようと思っていたのに」と喜びを語り、「妻が原作を書きました。彼女の青春時代を描いているので、感謝したいです」と、愛妻にも感謝の言葉を述べた。
中国映画『オルドス警察日記』で最優秀男優賞に輝いたワン・ジンチュンは「僕のアシスタントに感謝です。私が役になり切り、怒ったり、感情を爆発させたりしても、私につきあってくれました。また、妻にも感謝の言葉を言わないと、国に帰った時、大変なことになります。本当にありがとう」とおちゃめにスピーチ。フィリピン映画『ある理髪師の物語』 で最優秀女優賞を受賞したユージン・ドミンゴは、本作でシリアスな演技を見せたが「普段は、コメディ女優なんです」と笑顔で語り「また、日本に戻ってきます。ドン・キホーテでショッピングしたいから」とコメディエンヌらしいコメントをして会場を笑わせた。日本映画の『ほとりの朔子』と『捨てがたき人々』は、無冠に終わった。
コンペティション国際審査委員長チェン・カイコー監督は「東京国際映画祭は、大変上手く組織化されている。スタッフにも情熱がありました」と総評を語った後、「新しく覚えた日本語を最後に言いたいです。“倍返し”」と、人気ドラマ「半沢直樹」の名セリフで締めくくった。また、今年からディレクター・ジェネラルを務めた椎名保は「台風と台風の間をすり抜けていった映画祭でした」と安堵の言葉を述べた後「東京オリンピックは7年後ですが、東京国際映画祭は毎年あります。若くて才能ある監督が、東京国際映画祭を目指して出品し、東京から世界に羽ばたいていく、そのような映画祭になれば良いなあと思っております」と、最後にエールを贈った。【取材・文/山崎伸子】
<第26回東京国際映画祭コンペティション部門受賞結果>
■東京サクラグランプリ:『ウィ・アー・ザ・ベスト!』(スウェーデン:ルーカス・ムーディソン監督)
■審査員特別賞:『ルールを曲げろ』(イラン:ベーナム・ベーザディ監督)
■最優秀監督賞:ベネディクト・エルリングソン監督(アイスランド)『馬々と人間たち』
■最優秀男優賞:ワン・ジンチュン(中国:『オルドス警察日記』)
■最優秀女優賞:ユージン・ドミンゴ(フィリピン:『ある理髪師の物語』)
■最優秀芸術貢献賞:『エンプティ・アワーズ』(メキシコ=フランス=スペイン:アーロン・フェルナンデス監督)
■観客賞:『レッド・ファミリー』(韓国:イ・ジュヒョン監督)
<アジアの未来作品賞>
■作品賞:『今日から明日へ』(ヤン・フイロン 監督)
■スペシャルメンション:『祖谷物語 -おくのひと-』(蔦哲一朗監督)
<日本映画スプラッシュ作品賞>
『FORMA』(坂本あゆみ監督)