第71回ゴールデングローブ賞ノミネートで明暗くっきり!
現地時間の12月13日に第71回ゴールデングローブ賞(以下GG賞)のノミネートが発表され、『風立ちぬ』が外国語作品賞にノミネートされる快挙を成し遂げた。
下馬評が高かった『それでも夜は明ける』と、後半戦で一気に勢いづいた『アメリカン・ハッスル』が各7部門にノミネートされて圧倒的な強さを見せつける結果となったが、今年もサプライズノミネートと落選組で明暗がはっきりわかかれる形となっており、ABCニュース、CBSニュース、ニューヨーク・タイムズ紙、E!オンライン、Usウィークリー誌などの情報をまとめてみた。
過去にもジョニー・デップが『ツーリスト』(10)と『アリス・イン・ワンダーランド』(10)の2作品で主演男優賞にノミネートされたことや、『ツーリスト』でアンジェリーナ・ジョリーが主演女優賞にノミネートされたこと、『砂漠でサーモン・フィッシング』(12)が作品賞及びユアン・マクレガー、エミリー・ブラントが主演男優賞、主演女優賞にノミネートされたことで、「外国人映画記者クラブ(HFPA)のメンバーは、ハリウッドセレブがお好き」と揶揄されたことがあるが、今年も『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のレオナルド・ディカプリオが10回目のノミネートを果たす一方で、同作のジョナ・ヒルがノミネートされなかったことや、オバマ米大統領も絶賛した『大統領の執事の涙』で、ハリウッドスターではないが、オスカー最有力候補者の1人と言われている有名人オプラ・ウィンフリーが助演女優賞にノミネートされなかったことなど、まさに個人的な好みによるものではないかと言われている。
先週発表された全米俳優組合賞で、オスカー主演男優賞の最有力候補と言われている『オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~』のロバート・レッドフォードがノミネートされなかったのと同様に衝撃的な結果となった。
また、ドラマ部門の作品賞に『大統領の執事の涙』が、さらに同作で主演男優賞候補からフォレスト・ウィテカーが除外された代わりに、『Mandela: Long Walk to Freedom』で12月5日に亡くなったネルソン・マンデラ南アフリカ元大統領の若かりし頃を演じたイドリス・エルバがノミネートされるなど、『大統領の執事の涙』がノミネートされたかったことが一番の大きなサプライズとなった。
これについて、「ゴールデングローブ賞はもはやアカデミー賞の前哨戦ではなくなった」とUsウィークリー誌のエディターがABCニュースに語っており、オプラ・ウィンフリーではなく『ブルージャスミン』のサリー・ホーキンスという有名人を選んだことをサプライズに挙げているが、一方でこの結果から、オプラがノミネートはされても、オスカーの最有力候補から遠のいたとの見方もあるようだ。
作品賞では、『ウォルト・ディズニーの約束』『8月の家族たち』『Fruitvale Station』『LIFE!』が落選した一方で、作品の評価も賛否両論で全米で2700万ドル、全世界で6800万ドルと興行成績も振るわなかったロン・ハワード監督の『ラッシュ プライドと友情』がノミネートされたことが大きなサプライズになっている。しかし、ロン・ハワード監督の知名度や、NASCAR人気が圧倒的なアメリカと違って、F1レースがポピュラーな外国人からなる記者団の選択肢としては、うなずける結果かもしれないとの分析も出ている。
有名人好きという意味では、レオのほかにケイト・ウィンスレット(『とらわれて夏』)がドラマ部門の主演女優賞にノミネートされた一方で、コメディー/ミュージカルで、人気テレビシリーズ「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」で知られ、今年6月にイタリアで急死した故ジェームズ・ガンドルフィーニ(『Enough Said』)がコメディー/ミュージカル部門の主演男優賞にノミネートされなかった。一方で、ジュリア・ルイス=ドレイファスが同主演女優賞にノミネートされたこと、またジュリー・デルピー(『ビフォア・ミッドナイト』)や、『イカとクジラ』(05)のノア・バームバック監督作で、かなり前に公開された『Frances Ha』のグレタ・ガーウィグがノミネートされたこともサプライズになっているようだ。
今年のGG賞も混戦模様が予想されており、現地時間の14年1月12日にティナ・フェイとエイミー・ポーラーの司会で開催される授賞式が楽しみだ。【NY在住/JUNKO】