直談判でキャスティングが決定!岡田将生、3度目の伊坂幸太郎作品を語る
生まれた時から4人の父親がいる…そんな複雑な環境で育った男子高校生を主人公にしたサスペンスコメディ『オー!ファーザー』(5月24日公開)。この珍しい境遇で育った青年・由紀夫を演じるのは、『アヒルと鴨のコインロッカー』(06)、『重力ピエロ』(09)に続き、伊坂幸太郎原作の映画に3度目の出演となる岡田将生だ。特別な作品になったと語る彼に、本作に懸けた熱い思いをたっぷり聞いた。
大学教授、ギャンブラー、体育教師、元ホストというアクの強い父親を持つ由紀夫役に挑んだ岡田。台本を読んで即座に“やりたい”と思ったという。「うちの父親とも似ていませんし、自分の父親像とも違ったので、すごく興味を持ちました。高校生役というのが多少引っかかりましたが、劇中で『お前、本当に高校生か!』というセリフがある以上、イケるな、と(笑)」。さらに由紀夫役の抜擢について、こんなエピソードも披露。「実はその当時、この役はリアル高校生で話が進んでいたらしいのですが、無理を言って手を挙げさせてもらいました。それぐらいやりたかったんです」
自分の手で由紀夫役をつかんだとあって、現場での心持ちも並々ならないものがあった。「僕がブレたら、この話自体がゆがんでしまう恐れがあって。お父さん方が自由に気持ち良くお芝居をしてもらうにはどうしたら良いのか、そんなことばかり考えていました。そうすれば、僕も自ずと良い芝居ができそうな気がしていました」と、役者魂ものぞかせる。
4人の父親をそれぞれ演じた佐野史郎、河原雅彦、宮川大輔、村上淳というベテラン勢との撮影は、存分にエンジョイした様子。「みなさん多くの映画に出てらっしゃるので、アドバイスもたくさん頂きました。台本の読み方を教えてもらったり、シーンについて質問させてもらったり。その時間が楽しくて、毎日笑いっぱなしでした」。また、作品の設定についても共演者と想像を巡らせたというが…。「由紀夫の本当の父親は誰かというのはもちろん、あまり登場しない母親の裏設定も作りました。『本当はいない』やら『実は家の庭に埋められている』やら、みんな突飛な設定を言い合っていて(笑)」。そう苦笑しつつも、伊坂作品の醍醐味はまさにこうした部分だと明かす。「こうやって、読者や観客にゆだねると言うか、物語に想像できる余白がある。もしかしたら、こんな家族もどこかにいるかもしれないって。そこが魅力ですよね」
インタビュー中、父子の普遍的なテーマを扱った本作について、どの年代の方々にも見てもらえる、とその仕上がりに自信を覗かせていた岡田。最後に、その4人4様の父親を誰か選ばなくてはいけないとしたら?と問うと、「葵さん(村上)か、勲さん(宮川)かな。悟さん(佐野)は真面目すぎるし、鷹さん(河原)は危険が伴うし。でも正直、みなさん魅力的過ぎるので、選びたくないですね(笑)」という答えが。由紀夫が父親たちからたっぷりの愛情を受けているように、役者陣や監督たちからたくさんの刺激を受けた彼の演技を、しっかりと目に焼き付けてほしい。【取材・文/トライワークス】