秋元才加&本郷奏多、床舐め・女装の過激シーンも「なんてことない」。タフさの理由とは?
勝てば、主人。負ければ、奴隷。大胆な発想をもとに、究極のサバイバルゲームを描く映画『奴隷区 僕と23人の奴隷』(6月28日公開)で共演を果たした、秋元才加と本郷奏多。床舐め、女装など過激なシーンにもトライしたが、2人とも「なんてことない」と強い役者魂がみなぎっていた。タフさの理由、俳優という仕事にかける思いを聞いた。
原作は、小説・コミック投稿コミュニティ『E★エブリスタ』にて1660万アクセスを集めた岡田伸一の同名ミステリーだ。コミック化も実現し、累計150万部を突破。個性的なキャラクターが織りなすスリリングな展開が、若い世代に圧倒的な支持を集めている。
物語に触れた感想を聞いてみると、秋元は「他人を奴隷にできる器具によって、人間の奥底にある感情や欲望が渦巻いていく様子がすごく面白いなと思って。人間には、怖いもの見たさがありますよね。危ない世界は怖いけど、気になってちょっとワクワクもしてしまう。それがギュッと詰まった作品だと思いました」。本郷も「勝負に勝てば、他人が絶対にその人の言うことを聞くようになるという設定がまず、面白くて。キャラクターたちの主従関係が変わっていく様も、すごく興味深かったですね」と、原作の持つ魅力にすっかり心を奪われた様子だ。
双子の姉弟、エイアとユウガ役で共演を果たした2人だが、「自分にないものを持っている人」と顔を見合わせる。秋元は「私はわからないことがあると、すぐに『わからない!』って突発的に、動物的に反応してしまうんです(笑)。でも本郷くんは、1回冷静に考えて、自分の中で答えを出してから声に出す。きちんと飲み込んでから、『こういうことかな』って投げかけてくれるから、すごく頼りになって。もう、いろいろと聞きまくって、たくさんアドバイスしてもらいました!」と感謝しきり。
一方の本郷は、「僕はそんな秋元さんがうらやましくて」と微笑む。「僕は相対的に行動するけど、秋元さんは絶対的に行動する。例えば、僕は仕事でも私生活でも、その時に自分が100%納得していなくても、『こういうことかな』と納得して落とし込んでしまうところがあって。秋元さんのように、直感で『ダメならダメ』と言えるのがすごくうらやましい」。すると秋元も、「お互いに持っていないものを持っているから、うらやましくなるのかな。私、現場でもすごい本郷くんに話しかけちゃって!嫌だったかも」と心配顔。本郷は「全然そんなことないですよ!僕もそうしてくれて、本当に助けられました」と明かすなど、似た者同士ではないことが逆に、抜群のコンビネーションを生み出したようだ。
究極のサバイバルを描く本作だけに、過激シーンにもトライ。秋元は床舐め、食責め、罵倒バトルにも挑み、本郷も水をはった水槽に顔をつけ続けたり、女装姿も披露。さぞかし苦労があったのではと想像するが、秋元は「そこまで大変なことってなかったんですよね」、本郷も「僕も特に辛いことはなかった」とサラリと言ってのける。
「AKB48でいろんなことをやらせていただいたので、大変の加減がわからなくなっているんですよね(笑)。床を舐めてもどうってことない。逆に、喫煙シーンなど今までAKB48ではできなかったことができたし、そういった新しいチャレンジをたくさんさせてもらうことができる作品だったんです」と強い眼差しを見せる秋元。本郷も「同じ年くらいの役者さんからすると、僕も相当、いろいろなことをやってきているので」と苦笑い。お互いに「最初にやれることは全部やってしまっているとしたら、それは強みだよね!」と笑い合うが、本郷は「でも、女装は生まれて初めての経験でしたね。しかも、ロリータというか女装の中でも異色なもので(笑)。ロケの合間もあの格好でいる時間が長かったので、あれはちょっとキツかったかな」と教えてくれた。
秋元にとっては本作がAKB48を卒業後、初の主演映画となる。「たいていのことでは辛いとか、大変だとは思わない。それよりも素材として自分が中途半端だったら、その方が恥ずかしい」と秋元。今の状況は「生きている感じがする」と充実の表情で語る。「今の自分があるのは、もちろんAKB48のおかげ。でも、集団でいると喜びもあるけれど、自分に対する評価がモヤモヤとしてしまう時もあって。卒業したら全部、一人。良かったら次につながるし、ダメなら使ってもらえない。ハッキリとしている分、怖いけれど、褒められた時は何百倍も嬉しい。怒られた時は、それはそれはへこむけど、それも『生きている』って感じがする」。
本郷は、23歳にしてキャリア12年と、役者道を着実に歩み続けてきた。「僕は高校生くらいの時にはもう、『これを一生のお仕事にしたい』と思ってずっとやっていて。映画やドラマなど、ものすごい数の人が見る作品に出させてもらって、どこに行っても感想をもらえたりする。自分がやった仕事が多数の人に見てもらえる職業って、あまりないと思うんです。年上やベテランの方とも、作品の中では対等の立場で一緒に仕事ができますしね。たくさんの魅力を感じて、今はこの仕事が続けられていることが本当に嬉しくて、本当に幸せなんです」。
お互いにないものに惹かれ合い、刺激し合った秋元才加と本郷奏多。今、この瞬間に充実と感謝を感じて進み続ける2人のチャレンジが詰まった本作。是非、劇場で堪能してほしい。【取材・文/成田おり枝】