瓦を頭でかち割る武田梨奈、尊敬する俳優は武田鉄矢!
小粋なピンクのワンピースを着た女の子が、勢い良く頭で瓦をぶち割る!すでにキレキレのスタントをこなすアクション女優として名を馳せる武田梨奈だが、このCMではお茶の間の人々の度肝を抜いた。さらに、アメリカで起こった女子高生の集団妊娠騒動をモチーフにした映画『リュウグウノツカイ』(8月2日公開)で、見る者を圧倒する。一体、彼女の素顔はどんな人?武田梨奈に単独インタビューし、今の心境について語ってもらった。
本作の舞台は、土地開発の影響で漁業不振にあえぐ、田舎の小さな漁師町。鬱屈した思いを抱える少女たちが、集団妊娠計画を思いつく。『リュウグウノツカイ』は、新鋭・ウエダアツシ監督の劇場デビュー作にして、2014年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭オフシアター・コンペティション部門で北海道知事賞を受賞した青春映画だ。
彼女が演じたのは、そのグループのリーダー格の幸枝役。最初に設定を聞いた時は、とても驚いたそうだ。「女子高生の集団妊娠って、すごい題材だなと思いました。けっこう重い内容なのかと思っていたら、実際の描き方はとても青春チックでした。だから撮影も楽しくやらせていただきました」。
武田の女優としての志は非常に高い。デビュー当時から、目標にしている俳優として、常に武田鉄矢の名前を挙げてきた点もユニークだ。「女優さんってきれいで美しいものだと思われがちじゃないですか。でも私は逆で、人間の汚らしい部分やえぐい部分、腹黒い部分などをリアルに演じる役者になりたいです。武田鉄矢さんは泣くシーンで、涙より鼻水を流していたりしますが、その演技はリアルすぎて、見ていてこっちが過呼吸になってしまう。でも、そういう人間くさいところを出しているところがすごいなって思います」。
本作で、また役柄の幅を広げた彼女。「今までは、正義感があってしっかりしている女の子とか、わりと正統派な役が強かったけど、『リュウグウノツカイ』を含め、最近は汚い部分も出せるお芝居をやらせてもらえるようになってきました。アクションに関しては、もちろん第一線でやっていきたいという気持ちが強いのですが、人間ドラマであっても、この作品には武田が必要だったと言われるような役者になりたいんです」。
そう語る武田だが、本作は、まさに彼女の存在感なくしては成立しない。いや、彼女だけではなく、共演の寉岡萌希ら若手女優陣それぞれが、いろんなものに押しつぶされそうになりながらも、今を必死に生きようともがく女子高生として、スクリーンのなかで生きている。集団妊娠騒動。彼女たちはなぜ、理解不能な行為に走ったのか?映画を見れば、少しだけ彼女たちに寄り添えるのではないだろうか。是非、劇場へ足を運び、このとんでもない事件の目撃者になってもらいたい。【取材・文/山崎伸子】