伊勢谷友介&北乃きいも感激!声を失ったオペラ歌手が生歌を披露
実話をもとにしたヒューマンドラマ『ザ・テノール 真実の物語』の初日舞台挨拶が10月11日に新宿ピカデリーで開催され、伊勢谷友介、北乃きい、堀田眞三、キム・サンマン監督が登壇。ユ・ジテ演じる主人公のモデルとなったベー・チェチョル氏本人も韓国から駆けつけて生歌を披露すると、会場が大きな感動に包まれた。
本作は、声を失った天才オペラ歌手べー・チェチョルと彼の声を愛した日本人音楽プロデューサーとの絆を描いた、実話から生まれた物語。ベー氏は満員の会場を見渡し「今、本当に感激しており、嬉しい思いで胸がいっぱいです」と感激の面持ち。リハビリに励みながらコンサート活動にも注力しているそうで、「ステージが私の生きる場所。これからもずっと歌い続けていきたい」と語ると会場からも大きな拍手がわき起こった。
その後、ベー氏は映画のエンディングでも歌われている「アメイジング・グレイス」を温かな歌声で披露。歌を聞きながら涙を浮かべた北乃は「本当に素晴らしい。監督の方を見た時に、監督が涙していて。その姿にさらにぐっときました」と照れ笑い。伊勢谷も感無量の面持ちだった。
この日は伊勢谷演じるプロデューサー役のモデルとなった輪島東太郎氏も来場しており、伊勢谷は「東太郎さんの愛情深い生き方にものすごい影響を受けて、この役をやらせていただいた」と輪島氏へ最敬礼。「いろいろと難しい時期に、韓国と日本をつなぐ作品に出られたことは一人の人間としても嬉しいし、役者冥利に尽きる」と映画への熱い思いを語った。
これまで釜山国際映画祭をはじめ、上海、トロントなど各国の映画祭でも上映を重ねてきた本作。各国の反応を見たキム監督は「観客の皆さんがエンディングのシーンで2人の友情に涙を流し、感動していた。それはどこの国でも共通していたこと。人間同士というのは、同じ感情を分かち合うことができるんだなと感じた」と、友情、そして映画が国境を越えるものだと実感したという。
最後には伊勢谷が「僕の座右の銘は『挫折禁止』。僕らは障害や災害のたびにひとつ成長して、次のあり方を作っていくことこそが人生だと思う。それが伝わっていく映画になったと思う」と力強くコメント。舞台挨拶を締めくくった。【取材・文/成田おり枝】