『小野寺の弟・小野寺の姉』豪華キャストが勢揃い!向井理は片桐はいりを「モンスター」と絶賛!?
向井理と片桐はいりが姉弟を演じる『小野寺の弟・小野寺の姉』(10月25日公開)。決して似ているとは思えない2人が見事な化学反応を起こし、なんとも愛らしい姉弟が誕生。姉弟の奏でる不器用ながら温かなハーモニーに包まれ、思わず笑顔と涙がこぼれるような家族の物語となった。そこで絶妙なコンビネーションを見せた向井と片桐、そして彼らの恋のお相手を演じた山本美月と及川光博を直撃。コンビネーションの秘密を聞いた。
本作は、『怪物くん』(11)やTVアニメ『TIGER&BUNNY』などの脚本を務め、本作の原作小説の著者でもある西田征史の初監督作品。2013年には向井と片桐による舞台化も実現しているが、「このコンビで姉弟の物語を描きたい」との構想は、すでに5年ほど前には持ち上がっていたものだそう。片桐は「西田監督が小説を書いている頃から、映画や舞台にしたいというお話があって。その時から向井くんでやりたいという話になっていたんです。だからもう、向井くんとは小さい頃からの許嫁みたいな感じになっていましたよね。ハリウッドスタイルじゃないけど、5年もかけて役作りしているわけですから」と笑い、向井からも「格好良く言うとそうですよね」と笑顔がこぼれる。
舞台やドラマでも共演を重ねてきた2人。向井にとっても、片桐が特別な存在となっているようだ。「舞台では3か月くらいずっと一緒に稽古をやってきて、地方にも回っていましたので、当然、毎日会うことになるわけで。幕が上がると2人芝居が始まるというシチュエーションでしたので、幕が上がる前にはいつも2人で握手をしていました。本作は、そういうことがあっての集大成のような感じがしています」。2人の話をじっくり聞いていた及川が「心の片隅には常にお互いがいたんですね」と話すと、片桐も「テレビを見ていてもね、『あ、弟が出ている』とか思うんです」と乗っかり4人で大爆笑だ。
向井演じる進が惹かれていく女性を演じるのが、山本だ。「私は舞台に出演していなかったので、アウェイかと思っていたんです」と撮影前には不安もあったそうだが、「現場がとても優しく、自然体で入ることができました」とニッコリ。「向井さんと片桐さんは全然似ていないのに、姉弟に見えてきちゃうんですよね。カメラが回っていない時もずっとしゃべっているし、すごくナチュラル。そのまんまという感じでした」と、彼らのコンビネーションを肌で感じたという。
早くに両親を亡くしてから、年季の入った一軒家で暮らしている33歳の進(向井)と40歳のより子(片桐)。いい年頃となった2人がお互いを思いやる姿に胸を打たれるが、山本は「なんだか2人の間には入り込めないような気がした」と姉弟の印象を吐露。及川は「そうなんだよね。だから、毎回ゲストを変えて『男はつらいよ』シリーズのようにやったら良いんじゃないかな?」と提案。向井と片桐も「やろうと思えばやれるのかな」と顔を見合わせる。
確かな絆を育んだ向井と片桐だが、お互いへの思いをぶつけてもらうと、向井が「僕は常々、共演するずっと前から思っていますが、間違いなく日本一のコメディエンヌだと思っています」と片桐の存在感を絶賛。「はいりさんを抜く人は今のところ見たことがない。肩を並べるまでもいかない。ぶっこ抜きで一番素敵な女優さん」とあふれるような思いを吐露する。
「もう殿堂入りですよ。その分、舞台でご一緒する時のプレッシャーはすごいです。同じ板に立ってやるとなると、真っ向からやったら絶対に勝てるわけがないので。お芝居をしていても、はいりさんはセリフがなくてもお客さんが笑っている。セリフを話している人間よりも目立っているんです。尊敬している分、恐怖の毎日です。モンスターですよ」と賛辞の言葉は止まらない。
一方の片桐は、「私は不器用な人間で、一緒に七転八倒するような人間が周りに多くて。でも、向井くんは、緊張しないし、セリフを覚えるのも早いし、頭が良い。なんでも涼しい顔でやってしまう。そういうところがすごいなと思いますね。努力とか、そういう何かをやっているところを全然見せないんです。私は汗をダラダラ流してやっちゃうタイプなので、うらやましい」と感心しきり。
「いや、必死ですよ」と答える向井だが、片桐の前では「何も考えないでいられる」といつも以上に自然体でいられるとか。「もちろん大先輩ですけれど、同じ釜の飯を食ってきた仲間のよう」と話すと片桐も「向井くんと一緒に撮った写真とか見ると、私、本当に抜けた顔しているのよね。うわ、くつろいじゃっているなと思う」とニッコリ。その穏やかな空気感がしっかりと映し出され、家に帰ってきた時のホッとした気持ちを届けてくれるような映画に仕上がった。是非スクリーンで、小野寺家の温かさを感じてほしい。【取材・文/成田おり枝】