高良健吾、「どの作品もどの役も、この役に必要だったと思えた」と『悼む人』への手応えを語る
天童荒太の第140回直木賞受賞小説を、堤幸彦監督が映画化した『悼む人』の完成報告会見が、12月1日に帝国ホテルで開催。高良健吾、石田ゆり子、貫地谷しほり、椎名桔平、大竹しのぶ、原作者の天童荒太、堤幸彦監督が登壇。2015年で俳優デビュー10周年となる高良は「いままで自分がやってきたことが全部つながったというか、どの作品もどの役も、この役に必要だったと思えた作品です」と手応えを口にした。
主演の高良が演じたのは、縁もゆかりもない死者を“悼む”ために全国を放浪する青年・坂築静人役。「10代後半から、20代中盤くらいまで、自分が死んだり、人を殺してしまったりする役が本当に多くて。普通の人よりも死について考えてきたり、感じてきたと思います。そうやって毎日憂鬱に過ごした経験があり、10年目ってことで、次は“悼む”。今回この役をやれたのは、そのおかげかなと思います」。
ヒロインを務めた石田ゆり子も「原作を読んでいて、映像化されるなら絶対に関わりたいと思って立候補しました。でも、最初は本当にできるのかと思う日々でしたが、全身全霊でただただ、集中して演じるしかないと思いました」と本作への思いを吐露。貫地谷も「関わった人の熱量を感じて、この作品に出られて良かったなと思いました」とコメント。後半では、思いがあふれ、感涙する姿もあった。
原作者の天童は、本作の編集段階から堤監督と何度もミーティングを重ねたそうで、完成版には太鼓判を押す。「最も信頼する堤幸彦監督と、撮影スタッフ、高良健吾さんら豊かな才能と情熱をもったキャストによって、万国共通の映画という形になりました。とても幸せに感じてます」。2012年の舞台に続き、本作を手掛けた堤監督は、原作に自身の体験を重ね合わせたそうで「どうしても作品にしたいと思って、真摯に向き合った作品です」と力強く語った。登壇者全員の本作への熱い情熱が伝わってきた会見だった。【取材・文/山崎伸子】