「24」のメアリー=リン・ライスカブが語る、ジャック・バウアーとクロエの謎めいた関係とは?
いかなる過激な手段を使ってでもテロを阻止する不屈のタフガイ、ジャック・バウアーが帰ってきた!前回のシーズン8から4年ぶりに復活を遂げた超人気シリーズの最新作「24‐TWENTY FOUR‐リブ・アナザー・デイ」の舞台は、アメリカ大統領が訪問中のイギリスの首都ロンドン。ジャック役のキーファー・サザーランドとともに、今やすっかりシリーズの“顔”となったクロエ・オブライエン役のメアリー=リン・ライスカブが来日し、世界中のファンが待ちわびた本作の出来ばえについて、そしてジャックとクロエの“特別な関係”について語ってくれた。
まず注目すべきは、今回のクロエがCTU(テロ対策ユニット)の一員ではなく、ロンドンのアンダーグラウンドを拠点に活動するハッカー集団に所属している設定だ。ワイルドでダークなパンク風のヘアスタイル&メイクにも驚かされる。「へアとメイク担当のスタッフがクリエイティブなアイデアをプレゼンしてくれて、私自身のアイデアとすり合わせながら今回のクロエのルックスを決めていったの。別に歌舞伎を参考にしたわけではないけど、日本では何度か"目元が歌舞伎メイクっぽい"と言われたわ(笑)」
これまでの全24話から全12話へとエピソード数は半減したものの、リアルタイム進行によるストーリー展開の密度や疾走感は格段に高まったうえに、アクション描写も豪快にスケールアップ。中だるみは一切なく、全編を貫く異様なテンションの高さはシリーズ屈指と言ってもいい。「24話から12話構成への変更に関しては、私自身、最初は懐疑的だったの。でもプロデューサーも脚本家も、前シーズンをはるかにしのぐ作品を作ってみせるという強い決意がみなぎっていた。実際、エピソード数が減ったのに撮影はとてもハードだったし、過去のどのシーズンよりもアクション・シーンが多かった気がするわ」。さらに本作に臨むキーファーの姿勢からも、並々ならぬ意気込みを感じたという。「キーファーは誰よりもシリーズのクオリティの高さを重視し、ファンの期待感を大切に思っているわ。何事も他人任せではなく、自分から率先して情熱的に行動し、“『24』はこうあるべきだ!”という考えを示す人なのよ」
「24」は主要キャラクターが次々と死亡することで有名なシリーズであり、シーズン3で初登場したクロエが現在に至るまで生き延びていることは奇跡的ですらある。しかしメアリーは「実は今回、ついにクロエが殺されるという話もあったの」と意外な裏話を打ち明けた。「でも結局、このシリーズにおけるクロエの存在の強さがスタッフの間で見直され、よりキャラクターが深く描かれることになったの。ジャックとクロエのドラマ部分も含めて、私にとってベストのシーズンになったわ」
クロエはいかなる困難な状況に陥ってもジャックを絶対的にリスペクトし、全力でサポートする存在である。はたして、それはなぜなのだろうか。「クロエはジャックのことを信頼しているし、彼の幸せを願っているのよ。人を傷つけてばかりいるジャックを矯正し、よりよい人間にしたいと思っているのかもしれない。でも、なぜかしら? 本当の理由はわからないわ。ファンの中にはいっそのこと恋愛関係になっちゃえばいい、という人もいるけど、それって安易よね。ふたりの関係性は、もっといろんなことが絡み合っていて複雑なのよ」
10年以上もクロエを演じ続けているメアリー本人の口から、「なぜかしら?」という言葉がこぼれる面白さ!「24」が今後さらに続くかどうか現時点では未定だが、ファンにとっては「なぜ」の答えを探す旅をまだまだ継続させてほしいと思わずにいられない。「私もそう思うわ!ジャックとクロエの間のミステリーを解くために、もっとシリーズが続くことを願っているわ」【取材・文/高橋諭治】