燃え尽き症候群!?監督・主演コンビが『最強のふたり』成功後の生活を明かす!|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
燃え尽き症候群!?監督・主演コンビが『最強のふたり』成功後の生活を明かす!

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燃え尽き症候群!?監督・主演コンビが『最強のふたり』成功後の生活を明かす!

世界中を涙と笑いで包んだ『最強のふたり』(11)のエリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ監督と、主演オマール・シーが再びタッグを組んだ『サンバ』(12月26日公開)が上陸。不法移民や燃え尽き症候群といった現代を取り巻くヘビーなテーマを、温かな視点で描く軽やかな感動作に仕上がった。来日を果たしたナカシュ監督とオマールを直撃すると、作り上げる映画同様、ユーモアたっぷり。フランクにインタビューに答えてくれた。

「見ている誰もが、フィールグッドになる映画を作りたい」とナカシュ監督。「そして作る意味のある映画でなければならないよね。社会的問題を取り扱いながらも、重苦しくならないよう、ユーモアを交えて描くように心がけているんだ」というように、彼らの作り上げる映画はリアルでヘビーでありながら、ユーモアに溢れているのが特徴だ。

今回題材のひとつに選んだのは不法移民問題。移民の青年・サンバを演じたオマールは、「不法移民として生きている人たちに共感をもった」とうなずく。「サンバは、社会の中に存在していながら、怯えて影のように隠れて暮らしている。そういう人たちに光をあてるという、監督の手法にも共感したんだ。これまでのフランス映画では、不法移民をヒーローにするという映画はなかった。感受性を強く揺さぶられたよ」。

サンバは、現実の厳しさに直面しながらもいつも笑顔。その笑顔に引き寄せられるかのように、人種も境遇も違う人たちが集い、心の傷をさらけ出していく。サンバ=オマールの魅力に目が離せなくなるが、「オマールをイメージして当て書きをすることでキャラクターを膨らませていった」とナカシュ監督。オマールの個性をどのように感じているのだろうか。「オマールはすごくエネルギッシュで、彼独自のユーモアを持っている。そしてサンバというのは、ロマンチックで繊細な部分も持ったキャラクター。そういった資質のすべてをオマールは持ち合わせていて、今回、僕たちは思い切りそれを引き出すようなことをしてみたんだ」。

サンバと絆を育んでいく、キレやすい燃え尽き症候群の女性・アリスを演じるのは、フランスのトップ女優、シャルロット・ゲンズブールだ。オマールは「本当に素晴らしい経験だった」とシャルロットとの共演に感激しきり。「素晴らしい女優さんで、僕にとって最高のプレゼントだった。サンバという役は、ドラマチックな役柄でもあるので、僕にとってはチャレンジでもあって。そんな中、僕のユーモアや繊細な部分を全部、彼女が引き出してくれたんだ」。「僕にも繊細な部分があるんだよ」と笑いながら、「シャルロット自身もセンシブルな方で、不器用さや脆さも彼女と一緒なら自然と出すことができた。化学変化が起きたように、あっという間に自然な関係が生まれたんだ」と熱っぽく語る。

するとナカシュ監督も、「オマールとシャルロットを組み合わせるというのは、夢のキャスティング」とニッコリ。「シャルロットは、素晴らしいバックグラウンドのある女優さんで、フランスではアイコン的存在。いろいろな作家主義の映画に出演している。一方のオマールは、どちらかというと、大衆映画に出て人気を博している。このふたりを組み合わせることによって、“大衆作家主義映画”ができる。これは、面白いものができると思ったんだ」。

『最強のふたり』の成功後、「本当に忙しくなって、目まぐるしい状況になった」というナカシュ監督。今回、燃え尽き症候群を取り上げたが、そういった経験はあるだろうか。「僕らは全然、燃え尽きなかったよ。世界中をプロモーションして、休憩もなし。いつまで続くんだろうと思ったこともあった。先が見えなくて、ヒートアップしてわけがわからなくなってね。でもそれは、喜びでしかなかったんだ」。

『X-MEN』などハリウッドにも呼ばれるほどの売れっ子となったオマールも「僕も彼と同じようなことを思っている」と同意。「仕事も増えてオーバーヒート状態(笑)。でも僕たちがラッキーだったのは、忙しくてもそこに喜びがあったんだ。自分がやったことの果実をちゃんと得られたと感じている。バーンアウトしてしまうときというのは、『いくら仕事をしても、果実を受け取るのが他人だ』と感じたときだと思う。僕たちは、東京でも賞をもらって、ポスターにも名前が出て、こうやってみなさんにおもてなししてもらうこともできた。もらえたご褒美というのは、とても大きかったよ」。

劇中では、サンバのラッキーアイテムとしてカラフルなTシャツが登場するが、ナカシュ監督は「僕らにとってのお守りは、オマール・シーだよ!」といい、オマールと笑い合う。人と心を通わせることこそ、日々を輝かせる秘訣と教えてくれる人生賛歌だ。【取材・文/成田おり枝】

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