オダギリ、挑戦の必要説く。「日本映画はダメになる」
オダギリジョー主演の3D映画『Present For You』の初日舞台挨拶が2月7日に新宿バルト9で開催され、オダギリをはじめ、風吹ジュン、青木崇高、臺佳彦監督が登壇。オダギリが「こういう挑戦的な映画って、今の時代すごく難しい」と素直な胸の内を明かした。
本作は、実写3D映像と、キャスト陣を模した1/10サイズパペットを用いて撮影したアニメーションが交わる異色の3D映画。劇中と同じアフロヘアで登場したオダギリが、「お客さんがたくさん入るタイプの映画ではない。言っちゃっても問題ですが、現実はそう。でもこういうものもちゃんと作り続けないと日本の映画はどんどんダメになっていく」と日本映画界への思いを語ると会場も大きくうなずき、風吹も「素晴らしい」とオダギリの言葉に感銘を受けた様子。
制作には約5年の歳月がかかった。オダギリは「臺さんにどれだけ苦労しているかもずっと聞いていた。公開できることが信じられないというか、うれしい。本当によかったとこんなに思った作品は今までになかったかもしれない」と新しい映像表現を追求した本作の公開に感無量の面持ち。
さらに「僕は、こういう挑戦をしようとしている映画や、何かを作りたいという思いがある作品でないとノレない」と告白。「結果的に僕の関わる作品は、変な作品が多くなってしまうんですが」と会場を笑わせながら、「中でもこの作品はだいぶ色が違う。これは参加しないと損だと。それくらい夢のある作品だと思った」と力を込めた。
臺監督はキャスト陣に「ありがとうございます」と深々と一礼。「5年かかると思っていなかった。こんなに出演した俳優さんたちに励まされ、愚痴をこぼし、背中を押された監督はいない」と苦労を分かち合ったキャスト陣に感謝しきり。「好きな人は大好きだし、嫌いな人は大嫌いとはっきり分かれる映画」と分析し、「夏八木勲さんも生前、臺ちゃんみたいなムチャな奴がいてよかったとおっしゃっていたらしくて。すごくうれしかった」と 本作に出演し、2013年に5月に逝去した夏八木勲の言葉をじっくりとかみしめていた。【取材・文/成田おり枝】