尾上菊之助が宍戸錠から聞いた“絆”のいい話

映画ニュース

尾上菊之助が宍戸錠から聞いた“絆”のいい話

歌舞伎界のプリンス・尾上菊之助が、映画出演5作目にして、初の現代劇のアクション映画に挑んだ『THE CODE 暗号』(5月9日公開)。着物を脱ぎ、探偵として黒のスーツを颯爽とまとった尾上の新たな魅力とは? そこで彼自身に、新境地を開拓した本作について語ってもらった。

「探偵映画といっても、非常にクールでスタイリッシュ。しかも出てくる登場人物がみんなかっこいい! 僕が演じた探偵507も、暗号解読の天才という特殊な人物ってところにすごく惹かれました」

本作は、林海象監督の「探偵事務所5」シリーズの集大成的映画。確かに彼が演じた探偵507をはじめ、“5”がつくコードネームで呼ばれる「探偵事務所5」のメンバーはみな、おしゃれな個性派探偵ばかりだ。とはいえ、探偵映画をライフワークとする林監督の作品だけあって、劇中の暗号はすべて本物だし、探偵の描き方にもリアリティを感じたという尾上。

「探偵って、忍耐のいる仕事だなあと。それと同時に、意外にも人を信頼するところから始まる仕事なんです。そのことは、劇中で宍戸会長(宍戸錠の役)も言ってるし、林監督も常々おっしゃってました。人を疑うのではなく信じること、それが本作のキーワードだったのかなと。僕はそこにシンパシーを感じました」

この宍戸錠が扮するのは、「探偵事務所5」の会長・エースの錠で、劇中では松方弘樹と共に貫禄あるガンファイトを披露している。尾上は、撮影の合間に宍戸が語った“信頼”についてのエピソードを語ってくれた。

「“信頼”とか“信用”というキーワードは本作にたくさん出てきますが、宍戸さんも現場でそういうことをおっしゃってました。『絆というのはね、現場でキャスト、監督、スタッフの人たちとみんなで、縒(よ)ってくってことなんだ』ってね。みんなで“絆”、すなわち“信頼”を深めていくこと、それを宍戸さん自身が現場で体現されてたので、すごく勉強になりました」

おお〜。「探偵事務所5」の総まとめという役柄さながらの存在感を発揮していたということか。かっこいいぞ、宍戸錠!

「劇中でも“宍戸会長”ですが、現場でも本当に大きな方でした。きっと僕に、映画の世界での自分のあり方みたいなものを話してくださったんでしょう。お会いできて本当によかったです」と、笑顔で語る彼の満ち足りた表情が印象的だった。

ではそんな映画と、本業である歌舞伎というふたつの分野に対して、今後どう向き合っていくのだろうか。

「歌舞伎も映画も、エンターテインメント性や、人に何かを伝えるってことでは、変わらないと思うんです。僕は歌舞伎の人間ですが、映画など、今後も別の芸術にたずさわる機会があれば、また、僕を呼んでいただけるのであれば、ぜひ今後もうかがいたいです」

映画主演作としては2作目となる『THE CODE 暗号』。よく通る声、研ぎ澄まされた感性は、歌舞伎で培われた品格をさりげなく感じさせる。そして、宍戸錠の話からもわかるとおり、一流でありながら、常に何かを吸収しようとする姿勢にも好感がもてる。今後、きっと尾上菊之助は、映画界でも逸材となっていくに違いない。【MovieWalker/山崎伸子】

作品情報へ