ドイツの映画祭で浅野忠信が名誉賞を受賞!
国際的に活躍する俳優、浅野忠信に新たな名誉が加わった。
ドイツのフランクフルトで6月2日からスタートした世界最大規模の日本映画専門の映画祭、ニッポン・コネクションで俳優の浅野忠信が、第15回の開催を記念して新設された「ニッポン名誉賞 Nippon Honor Award」の第一回目の受賞者に選ばれた。
ニッポン・コネクションは、毎年目利きのキュレーターたちが集めた大手の映画会社の大作から、日本人もまだチェックしていない自主製作の新しい才能まで、100作前後のバラエティ豊かな作品を集める映画祭として急成長し、世界中から注目を集めている映画祭だ。
ニッポン名誉賞はドイツの航空会社、ルフトハンザがスポンサーとなって、同映画祭の歩みと並行してこの15年間、日本映画に優れた功績を収めたとされる人物に贈られる功労賞として創設された。
受賞者の新作製作にも関わっている映画製作・配給会社Rapid Eye Moviesの代表であるシュテファン・ホル氏は浅野を選考した理由として授賞式で、「三池崇史、北野武、塚本晋也、ウォン・カーウァイやクリストファー・ドイル、ペンエーグ・ラッタナルアーン…。彼が組んできた偉大なる映画人の名前を挙げるだけで、浅野さんが間違いなく素晴らしい俳優だとわかるでしょう。彼の仕事ぶりは日本映画に留まらず、パン・アジアの広がりを持ち、同時にハリウッドの文脈でも語ることができ、まさに世界の映画人と言えます」と解説。
さらに「私たちがなぜ彼を好きかというと、彼は想像力を発展させ、自己を発展させてきたからです。多くの感情を発露する姿には驚かされ、ときどき私は彼をロバート・ミッチャムの孫なんじゃないかと思うときがあります」と往年の性格俳優の名前を挙げて、賛辞を送った。
残念ながら、浅野忠信は一昨日から急な発熱で倒れ、直前に映画祭への参加が見送られた。そのアナウンスが同映画祭のディレクター、マリオン・クロムファスからされたときは、授賞式の会場のあちこちから大きな失望の声が上がったが、急きょ送られてきた映像で浅野は挨拶。
「なんとか熱が下がらないかと努力したけれど、難しく、申し訳ないです」と、苦渋の表情で観客に呼びかけた後、「今回の素晴らしい受賞は、間違いなく僕の今後の活動に活かされると思います」と宣言。その後、映画祭のオープニング作品に選ばれた浅野の主演作『私の男』(14)の映画監督、熊切和嘉監督が代理にトロフィーを壇上で受け取った。
同映画祭では、『私の男』、『寄生獣』(14)、『寄生獣 完結編』(公開中)、『座頭市』(03)、相米慎二特集での『風花』(00)と浅野の出演作が5作も上映され、また、ドイツでは、フィリピンの奇才、ケヴィン監督によるフィリピン・ドイツ合作のクライムムービー『RUINED HEART』の公開も控えており、本作で主人公の殺し屋を演じる浅野への期待が高まっている。【取材・文/金原由佳】