『トゥモローランド』の監督が語る未来都市のリアル|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『トゥモローランド』の監督が語る未来都市のリアル

インタビュー

『トゥモローランド』の監督が語る未来都市のリアル

ジョージ・クルーニーが、初めてディズニー映画に出演した『トゥモローランド』(6月6日公開)。ジョージに直接オファーをしたのが、『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(11)のヒットメーカー、ブラッド・バード監督だ。ジョージと共に来日した監督にインタビューし、撮影エピソードを語ってもらった。

アクションに定評があるブラッド・バード監督だが、『Mr.インクレディブル』(04)と『レミーのおいしいレストラン』(07)で2度のアカデミー賞長編アニメ賞を獲得しているアニメ映画界の実力者でもある。つまり、夢とロマン、アクションが詰まった本作を手掛けるにあたり、これ以上の逸材はいないのだ。

17歳の少女ケイシー(ブリット・ロバートソン)が、理想の世界・トゥモローランドの存在を知る男フランク(ジョージ・クルーニー)と出会い、人類の未来を懸けた冒険に挑む。

今回、監督からジョージには、特に役作りのリクエストはしなかったそうだ。「ジョージは、経験豊富な役者でありながら、監督、プロデューサーもやれて、脚本も書ける。脚本を読んだだけで、演じる役を理解してくれるから、僕が演出すること自体が野暮な話だよ。ただ、今回、ブルースクリーンの撮影があったから、その説明をしたくらいさ。監督の苦労もよくわかっているから、いろいろと助けてくれたよ」。

ウォルト・ディズニーは、晩年、ディズニー・ワールド・プロジェクト構想のなかで“エプコット”と呼ばれる実験的未来都市を実現しようとしていたと言う。『トゥモローランド』に登場する街も、洗練された未来都市なのに、絵空事ではなく、どこかリアリティがある。実際に、スペイン・バレンシアの芸術科学都市でロケを敢行した。

「SF映画におけるリアリティーは大事なので、本物だと説得力を与えるために、何かリアルなものを置くようにしている。ブルースクリーンだけに頼ることは禁物だよ。だから今回は、バレンシアの芸術科学都市で撮影をしたんだ。それに、後から補足していくことで、現実味を出していったよ」。

撮影前にロケハンした時から、その場所にインスパイアされたという監督。「必要なスタッフを全員スペインに連れていくことは、予算もかさむけど、バレンシアで撮る価値は十分にあると、ディズニーに説明した。そしたら、とても寛大な支援をしてもらえることになり、あの素晴らしい場所でロケができたんだ」。

今回、スリリングなアクションも満載だが、常に緻密な計画を立てて、撮影に臨むそうだ。「大多数の作り手の場合、アクションシーンは一般的な撮り方をして、編集で上手くまとめるというアプローチをするけど、僕は違う。常に立ち位置をすべて把握し、いま何がどこでどう起きているかを計算しながら撮っている。そうすると、出来上がった映像のスピード感や迫力が格別なものになる」。

実際、それができている作品として、監督は『ダイ・ハード』や『インディ・ジョーンズ』『マッドマックス』シリーズやジェームズ・キャメロン監督作を例に挙げるが、実に納得させられる。「それらは直感的というか、本当に興奮できる、素晴らしいアクション映画だと思う」。

本作を監督したことで、改めてウォルト・ディズニーの偉大さを思い知ったという監督。「未来についての思いには、僕自身もすごくインスピレーションを受けた。エプコットは、実際に人々が住みながら、新しいアイディアを試せる場所というものだった。残念ながら、実現する前に彼は亡くなってしまったけど、彼の思想は僕のなかで息づいていると思う」。

折しも『シンデレラ』がメガヒット中だが、次は趣向を変えて、映画館の『トゥモローランド』へ遊びに行ってみては?ディズニーリゾートとはまた違う冒険を楽しんでほしい。【取材・文/山崎伸子】

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