神田沙也加、声優、女優、歌手それぞれのスタンスを語る
『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズや、『STAND BY ME ドラえもん』(14)などで知られる映像製作会社・白組が、満を持して放つ3DCGアニメ映画『GAMBA ガンバと仲間たち』が10月10日(土)より公開される。本作でヒロイン潮路役に息を吹き込んだ神田沙也加にインタビュー。
原作は、斎藤惇夫の児童小説で、小さいネズミ、ガンバたちが力を合わせ、巨大な敵に立ち向かうという冒険物語となっている。神田は、ガンバたちに大いに共感できたと言う。「ネズミたちが個性豊かで、似たもの同士ではなく、違う生き方をしてきたものたちが集まるこそ、いろんな局面で新しいアイディアを発揮できる。それは実際、人間生活においても大いにありえることだなと思いました」。
神田も実際、仕事をしていく上で、チームワークをとても大事にしている。「私がやっている仕事は、信頼関係が特に大事になってくる職種だと思っています。舞台だと何ヶ月も同じメンバーでいっしょにいるし、それだけ長い時間を過ごしていると、空気感でわかり合えるようになってきます。カンパニー、スタッフと呼ばれるもの、その全部が仲間だと思っています」。
『アナと雪の女王』(14)で第9回声優アワード主演女優賞を受賞した彼女は、歌手、女優に加え、声優というカテゴリーでの存在感も世に知らしめた。声優業について神田は「声優やナレーションのお仕事は、緊張すると自分の動悸の音まで聞こえてくるくらい、静かな状態でやるので、すごく自己と向き合う作業だと思っています。自分が表に出なくてもやれるというところは、いちばん理想でもありますし」と言う。
女優業や音楽活動については、また違うスタンスで臨んでいる。「歌は、唯一オリジナルを作れる場所だと思うので、そこは存分に楽しむという点を重んじていけたら良いなあと。女優は、長い時間をかけてやる舞台が好きです。たぶん、実際の時間の流れで何かを表現していく方が好きなんです」。
3つをバランス良くやることで、きっと良い相乗効果が生まれていたのではないかと、いまの神田沙也加を見て思う。『GAMBA ガンバと仲間たち』では、そんな彼女の豊かな表現力が存分に生かされている。
本作は、幅広い世代に観てほしいという神田は、潮路役を演じるうえで、こんなことも語っている。
「私はミュージカルで『ピーターパン』を3年間やっていたのですが、演じていたウェンディがすごく大好きでした。ただ、原作がベースになっている作品の場合、子どもたちが初めて『ピーターパン』を見たら、私のことが“ファーストウェンディ”になるという責任があると思います。そういう意味では『ガンバ』もそうで。『アナ雪』もそうでしたが、その子の人生の記憶に残れるのはうれしいから、今後も子どもたちに観てもらえるような役をやっていきたいです」。
自分自身の立ち位置をしっかりと見据え、あふれる思いを丁寧な言葉で伝えてくれた神田沙也加。その真摯さやクレバーさに心を打たれながら、今後もいろんなステージで輝く彼女を追っていきたいと思った。【取材・文/山崎伸子】