ピーターパンとの共通点は?美少年リーヴァイ・ミラーとジョー・ライト監督を直撃
普通の少年がピーターパンになるまでの物語を明らかにする映画『PAN 〜ネバーランド、夢のはじまり〜』が公開中だ。ワクワクとする冒険劇とともに大いに話題となっているのが、主人公・ピーターを演じた少年リーヴァイ・ミラーのキュートで溌剌とした魅力。来日したリーヴァイとジョー・ライト監督を直撃し、撮影秘話を聞いた。
ロンドンの孤児院に住む少年ピーターが、ネバーランドへと旅立つ姿を圧倒的な映像美とともに描く本作。誰もが知っている伝説的キャラクター、ピーターパン役を見つけるのには相当な苦労があった様子。オーディションでリーヴァイを発見したライト監督は「キラキラしたものを感じた。彼で決まりだ」と喜んだそう。
「リーヴァイはとにかく才能にあふれていたんだ。演技で一番大切なことは、見ている人がそれをリアルに感じられるかどうか。リーヴァイはそういう演技ができる。そして、彼の物事の見方にはまったくシニカルなものがない。大人にありがちな皮肉めいたものや、うがったもの。そういったものがなくて、本作ではオープンな感情を伝えてくれた。それに結構ハンサムだよね?」
ライト監督がからかうように目を向けると、照れ笑いを見せたリーヴァイ。吸い込まれるようなブルーの瞳、愛くるしい笑顔。“いま最も美しい少年”とも称されるリーヴァイだが、「ピーターと似ているところは、冒険好きなところかな」と自身を分析。「でも、違うところもいっぱいあるよ。彼は永遠に少年だし、大人になりたくないと思っているけれど、僕は大人になりたいんだ。大人になったらできることがたくさんあると思うから」と瞳を輝かせる。
ライト監督は「冒険好き」という言葉にうなずき、「この映画を牽引する主人公としてピーター役を演じるというのは、とても勇気のいることだったと思う。それは空を飛ぶことより、勇気がいることかもしれないね。そう考えると、メタファーとしては同じなんだ。ピーターを演じること、ピーターが空を飛ぶこと。どちらもとても勇気がいることだからね」と大役を果たしたリーヴァイの勇気を称える。
プレッシャーもあったことと想像するが、リーヴァイは「とっても撮影は楽しかったんだ」とにっこり。本作の一番の見どころでもあるフライングシーンについて聞くと「ハーネスをつけていたからちょっと痛かったんだ。でも、ハーネスで吊り上げられるとセットの一番高いところまで行くことができるんだ。作り込まれたセットを俯瞰で見られるのは、本当に素晴らしい体験だったよ!特に先住民の村のセットは、カーニバルのようで本当に楽しかった」と興奮しきり。また、ヒュー・ジャックマンとの共演も最高のひと時だったと語る。「ヒューはとってもラブリーな方!共演できてうれしかったし、光栄だった。演技の先輩として学ぶことも多くて、『とにかく楽しむことが大事だよ』と教えてくれたんだ」。ヒュー仕込みの前向きな精神で存分に撮影を楽しんだ。
『シンデレラ』(15)や『イントゥ・ザ・ウッズ』(14)など、近年、おなじみのおとぎ話の実写映画化作品が続々と登場している。ライト監督は「子ども向けの寓話を何度も綴り直すというのは、とても重要なこと。なぜなら勇気や想像力、信念を持つことで、我々は人生の闇の部分を乗り越えていくことができるんだと、改めて思い出させてくれるからだ」とその意義を語る。しかしながら「他の人がこうしたから、僕はやめようとかそういうふうには考えない。映画というのは自分の頭の中で生まれ、形作られていくもの」と、他のおとぎ話の実写化作品に影響されないように気をつけたとか。
その旺盛な想像力から、見たことのない映像世界が誕生した。「僕が意識したのは、夢のような映画」とライト監督。「この映画は、古典的でありながら、12歳の少年からの視点から綴られるもの。壮大なスケールの映画ではあるけれど、僕にとって一番大切だったのは、少年が母親を探していく過程で自分自身を見つけることだったんだ」とピーターの成長物語に心を寄せていた。【取材・文/成田おり枝】