瀬戸朝香が明かす子育てのモットー「子どもを守れるのは親」

インタビュー

瀬戸朝香が明かす子育てのモットー「子どもを守れるのは親」

世界中で愛され続ける「星の王子さま」が生誕70年以上を経て、劇場長編アニメとなって登場。『リトルプリンス 星の王子さまと私』として11月21日(土)より公開となる。親子の絆とは?生命とは?愛とは?人生の真理に迫る深い感動の物語で、日本語吹き替え版声優にチャレンジした鈴木梨央と瀬戸朝香にインタビューを敢行。母親役を演じた瀬戸が、子育てのモットーを明かしてくれた。

映画の舞台は現代。母親の言いつけを守り勉強に明け暮れる9歳の女の子を主人公に、「星の王子さま」のメッセージが紐解かれるファンタジーアニメだ。瀬戸が演じたシングルマザーは、娘の将来を思うあまりに、厳格になってしまう女性。

実際に二児の母でもある瀬戸は、「母親の立場としては、すごく共感できたんです」と告白する。「子どものことを思っての厳しさだったり、焦りの気持ちだったり、いい学校に入れたいという気持ちもわかる。愛情があるからこそ、子どもに細かい人生設計を押し付けてしまっているんですよね。どんどん、本当に大切なものはなんなのかと気付かされていくストーリーの展開がとてもよくて。演じた母親自身もいろいろなことに気付かされて、成長していく物語になっています」

子育てにおける厳しさと自由のバランスについては「本当に難しい」と瀬戸。「何が正解かもわからないですから。例えば、子どもが道路に飛び出してしまったとしたら、『危険でしょう!車に轢かれちゃうでしょう!』と言うんですが、実際には起きていなことだから子どもが理解できるように説明するのは難しい。子どものことを思って言ったことでも、『うるさいよ』と思われてしまうこともありますよね」

悩みながら子育てに励む中、「うるさくていいんだと思った」という。「煙たがられたり、嫌だと言われる存在でもいい。やっぱり危険を察知して守ってあげることが、親の役目だと思うんです。それは独り立ちしたときに初めて、やっとわかってくれることなんだと思って。私も子どもが生まれて初めて、親のありがたみがわかったんです。親もこうして自分を育ててくれたんだと、やっと感謝できた。そうやっていろいろな経験を重ねて、本当の気持ちに変わる瞬間があるんだと思います」。受け継がれていく絆について、充実の表情で語る。

瀬戸演じる母親の娘で、主人公の9歳の女の子を演じたのが、鈴木だ。鈴木は「勉強をしたりと、人生設計があるのは、これからの女の子のために教えてくれていること」と劇中の母親に理解を示しながらも、「でもお友達と遊ぶ時間がないのは、ちょっと困るかな」と苦笑い。瀬戸とニコニコと顔を見合わせながらおしゃべりするなど、すっかり仲良しの様子の二人。鈴木は「本当に優しくて、きれいで、たくさんお話ができてうれしかったです。本当のお母さんみたい」と瀬戸にぞっこんだ。

ストップモーションアニメで描かれる「星の王子さまの世界」と、9歳の女の子が住むCGで描かれる「現実の世界」。二つの世界を融合させた美しい映像も見どころだ。瀬戸は「女の子の気持ちになって、どんどん引き込まれていって。特に女の子が王子様に会いに行くシーンは、とても元気付けられました。映像もあたたかい気持ちになる作りで、世界にポンッと入り込めました」、鈴木も「笑いもあって涙もあって、ハラハラドキドキするシーンもある。飛行機に乗るシーンは、ジェットコースターより怖いんじゃないかな。私も一緒に大冒険した気分になって、とても楽しかったです」と完成作に惚れ惚れ。

とりわけ、「大切なものは目に見えない」というメッセージに深く心を打たれたという瀬戸。「あれが大事だったんだとか、この時こうしてよかったんだとか、リアルタイムではわからないことってたくさんありますよね。それは後に結果が出てきたときや、何かにつながっていったときにわかるもの。だからこそこの作品との出会いもそうですが、一つ一つの出会いを大切にしていきたいです」。瀬戸朝香と鈴木梨央が大切なものを受け取ったように、愛の育てかたや心を豊かにするヒントが詰まった感動作とオススメしたい。【取材・文/成田おり枝】

▪︎鈴木梨央
衣装クレジット:シモネッタ(マ・メール)
スタイリスト:高橋由美
ヘアメイク:国府田圭

▪︎瀬戸朝香
衣装クレジット:MAX&Co.ダイアナ(ダイアナ 銀座本店)
スタイリスト:堂園礼子
ヘアメイク:面下伸一(FACCIA)

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