『いけちゃんとぼく』漫画家・西原理恵子×ともさかりえ対談

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『いけちゃんとぼく』漫画家・西原理恵子×ともさかりえ対談

人気漫画家・西原理恵子初の絵本「いけちゃんとぼく」が実写版映画化。観終わった後、胸の奥の琴線が心地よく刺激され、なんだか誰かが恋しくなる。そういう映画に仕上がっていた。

“ぼく”こと少年・よしおと、彼にしか見えない不思議な生き物「いけちゃん」との交流を通して、少年の成長や、人を愛することの尊さを綴った本作。今回、原作者の西原理恵子と、よしおの母親・美津子を演じた女優・ともさかりえに、撮影裏話を聞いてみた。

――まずは、完成した映画の感想からお願いします。

西原「漫画が“自分の子供”なら、作品は“孫”なので、何があっても冷静ではいられず、ドキドキしたり、うるうるしたりの連続でした。第三者の目では観られないですね。心配で仕方ない。私は年齢に関係なく観られる映画なのかなと思いました」

ともさか「私は自分が出た作品は、つい粗探しばかりしちゃう。でも、今回は子供たちが素晴らしくて、そういう点にのっかって観ていったらジーンときましたね。自分が出演した作品でそう思うことってそんなにないので、新鮮でした」

――ともさかさんも男の子をもつ母親ですが、母・美津子役を演じてどう感じましたか?

ともさか「自分も母親なので、自分の至らなさやダメさを痛感して『あ〜あ』って思ったり。私はあまり自分の私生活を役に投影したりすることは意識的にしない方ですが、今回は無意識に反映されてしまったのかもしれない。状況は違うけど、感じることはいろいろとありました」

西原「ちゃんといいオカンでしたよ。まあ、理不尽に子供を怒ったり、イライラしたりすることは誰にでもあるし。ニコニコ笑って理解のある親なんて、この世にはいませんから(笑)」

――美津子さんは、西原先生がモデルですか?

西原「こんなにきれいじゃないです(苦笑)。私は、いけちゃんですね。いけちゃんを通して見てる。ともさかさんには、好きだった男の子のお母さんを演じてもらってるという感じかな。でも、途中でいろんな目線が混ざっちゃう。“好き”という箱の中に全部入ってるんです。いろんな人の昔話もいっしょにね」

――いけちゃんのぽよよんとした質感がよかったです。

西原「監督はプリンなどをコンビニでいっぱい買ってきて(質感を)調べたそうですよ。それで杏仁豆腐を押したとき、『これだ!』って言ったらしい。私としては、杏仁豆腐に吉野葛(和菓子)がちょっと入った感じかな。ちょっと皮が透明で、ゆるい感じ。あ、低反発枕にも似てる。ちゃんとぼよんぼよんとしてていい感じでした」

――蒼井優さんがいけちゃんにあてた声については?

西原「あの人、うまいね。最初、女優さんでは無理なんじゃないかなと思ってたんだけど。とはいえ、アニメの声優の裏声も耳に障るし。彼女の中性的なウィスパーボイスがいいなあと」

――いけちゃんはCGですが、現場で苦労された点はありましたか?

ともさか「実際、現場には、(手前のオブジェを指差し)こういういけちゃんがいて、シミュレーションをしつつ撮影できたんです。でも、映画を見て、ああいう質感だったのか、待ってました!って思い、うれしくなりましたね」

西原「ぴょんぴょんってはねる音がテルミンなんですって。そういうのも楽しみに」

――最後にメッセージをお願いします。

西原「好きな人がいた人、今好きな人がいる人に観に行ってほしいです。“好き”がたくさん詰まった映画になっているので」

ともさか「いろんな目線で感じられる映画だと思うので、ぜひ劇場へ行って観てください!」   

【MovieWalker/山崎伸子】

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