第88回アカデミー賞ベストドレッサーは?【その1】
今年も豪華なドレスで彩られた第88回アカデミー賞授賞式。今年のトレンドは、パステルカラー、レースやシアードレス、グリーンやブルーのドレス、そして引き続き、スパンコールやビーズなどスパークリングドレスも目を引いた。また相変わらず胸元が大きく開いたブランジネックドレスの人気は健在だったが、長いトレーンのマーメイドドレス、センターわけのヘアに、アクセサリーは長く巨大なダイヤモンドイヤリングがトレンドとなった。ファッションには個人の好みがあることを前提に、10社以上のメディアのデータを基に、ベストドレッサー賞をまとめてみた。
今年は、オーバー40のベテラン女優と若手新進女優の双方が健闘したが、すべてにおいてパーフェクトな評価を得たのは、オスカー女優のケイト・ブランシェットのみ。アルマーニ・プリヴェのシーフォームグリーンの、総手縫いによるスワロフスキーのクリスタルが施され、花と白い羽があしらわれたフェミニンでエレガントなドレスは、まさにハリウッドグラマーの代表格。「ワオ!の一言でしばらく言葉が出ないくらい、ただただ素晴らしい」「ゴージャス」「ヘアタイルからティファニーのジュエリー、ヒールに至るまで完璧」「ドレスとウエストのカーブを生かしたポーズも完璧」「毎回リスクを取りながらも、己を知り、自分の直感に従っていて失敗しない」「まさに、オスカーで着るべき、オスカーで見たいドレス」と最高の賛辞を受けている。
惜しくも首位の座を逃したが、アッと言わせる風格を見せたのは、広告塔を務めるディオール・クチュールのドレスで、6度目の登場となるシャーリーズ・セロン。おヘソまで届きそうなプランジネックの真っ赤なドレスに50カラットのハリーウィンストンのダイヤのネックレスやイヤリングは、長身で抜群のスタイルの彼女だから着こなせると絶賛されている。スモーキーなアイメイクに賛否が分かれたが、オスカー女優の貫録たっぷりのドレスの着こなしは、まさにため息ものだ。
また、今回も非の打ちどころのないファッションと評価されたのは、ファッショニスタのナオミ・ワッツ。サファイアとパープルのスワロフスキーが施された、ミッドナイトブルーのストラップレスのアルマーニ・プリヴェのドレスと胸元に光るブルガリのダイヤのネックレスはパーフェクト。ウェービーなブロンドと真っ赤な口紅はハリウッドグラマーの骨頂で、これぞハリウッド女優といった風格で絶賛された。
若手のノミネート女優も大健闘している。ゴールデン・グローブ賞では憂き目を見たルーニー・マーラだが、今回は、シアーレースと、腹部のダイヤモンドのカットアウトが印象的なアイボリーのジバンシィのクチュールドレスで、高い評価を得ている。まとめ髪(トリプル・バン)にダークなリップカラーがエキゾチックな雰囲気をかもしており、裁縫に1800時間かかったという繊細なドレスとルーニーの雰囲気が見事にマッチ。「オスカーのドレスには、ドラマ、エレガンス、ファッショナブルの3つが期待されているが、全てが揃ったソフィスティケイトの真骨頂だ」と絶賛されている。
見事、助演女優賞を手にしたアリシア・ヴィキャンデルは、今回も広告塔を務めるルイ・ヴィトンにシルバーのビーズがあしらわれた、若さあふれる新しいファッションで、斬新さをアピール。シルクタフタの、着こなしが難しい自称ダスト・イエローの歩きやすいベアトップドレスは、受賞で登壇することを意識したものか。バルーン仕立ての裾が軽やかで、『美女と野獣』のベラを彷彿させるプリンセスドレスと絶賛され、コラ画が出回るほどだったが、少し子供っぽいという評価もあった。
主演女優賞を受賞したブリー・ラーソンもオスカー初デビューだが、ロイヤルブルーのグッチのドレスで大健闘。「役どころにハマりきっていたのもあって、やっと本当の自分になれた」というブリーが、本当に着たかったこのドレスは、クリスマス前から自身がグッチとコラボしてデザインした、まさに夢のドレス。パールとダイヤのスパークリングベルトがアクセントだが、レースのラッフルスカートとトレーンがゴージャス、という評価を受ける一方で、少々デザインがうるさいという意見もあった。しかし、オスカーでの堂々たる態度は心地よいドレスのおかげ、と称えられた。
また、シアーシャ・ローナンが着ていたプランジネックとマーメイドシルエットのカルバン・クライン・コレクションのセクインドレスも、「子役から脱皮した大人の女性としての新たなスタートを切るにふさわしい」と好評。エメラルドグリーンは、「アイルランドを代表する色」としてオスカーで着たかった色だそうで、これまでになく胸元と背中のあいたドレスと、ショパールのジュエリーで、大人の魅力を演出し高い評価を得ている。(その2に続く)【NY在住/JUNKO】