テリー・ギリアム『ドン・キホーテを殺した男』の撮影開始を発表!

映画ニュース

テリー・ギリアム『ドン・キホーテを殺した男』の撮影開始を発表!

17年前、撮影を開始したものの、度重なるトラブルで製作中止に追い込まれたテリー・ギリアム監督の『ドン・キホーテを殺した男』。その崩壊の過程はドキュメンタリー『ロスト・イン・ラマンチャ』になって公開されている。が、肝心の本編は著作権が差し押さえられたり転売されたりしてギリアムの手を離れ、製作再開は絶望的と思われていた。しかし、ギリアムにとってこの企画は特に思い入れのあるもので、諦めることなく出資者を探し、いつかは撮影にかかることを熱望していたものである。

この間、ギリアムは新作の公開のたび会見でファンである記者に聞かれ続けてきた。「『ドン・キホーテを殺した男』はどうなっているのか?」と。ファンも決して諦めず、待ち続けていたのである。

そんな数年が過ぎ、やっと著作権に関してギリアムが取り戻し製作にかかる可能性が出てきたと聞いたのはこれももう数年前のこと。それが、ついに、とうとう、この日がやってきた!

「今年の10月に撮影を開始し、12週間の撮影を経て、ポストプロダクションと編集をして仕上げ、来年の5月、カンヌでプレミアをする」と、5月18日、カンヌのマジェスティックホテルでギリアムが発表したのである。

「長い道のりだったが、ジェレミー・トーマスがプロデュースを引き受けてくれるという話が2月にあった。彼をよく知るヴィム・ヴェンダースに聞いてみたら『他の誰もしないことをするやつだ』と太鼓判を押してくれたので腹を決めた。ドン・キホーテに関しては噂話が一人歩きしているからね。ここは正式なアナウンスが必要だと思ったのさ。今もう数人声をかけているスターがいて、彼らの答えを待って6月には公式発表をするよ。10月にスペインで撮影を始め、ポルトガルとカナリア諸島でロケをする。12月には撮影を終えてクリスマスは家で迎えたいね」

「主演はアダム・ドライバー。『スター・ウォーズ』のおかげでネームバリューもあるし、儲けたから、ギャラについて文句もでない。『スター・ウォーズ』さまさまだよ(笑)。ジョニー・デップとはだいぶ違うキャラクターになると思うけれど、幾つかのシーンをやってもらったらそれが、いいんだよ」

「この17年で映画は大きく変わった。デジタルの発達は目覚ましいものがある。もちろんCGも使うけれどね、リアリティを大事にしたいと考えていて、やはり巨人のシーンはCGではなく実際に演じてもらいたいと思っているんだ」

ドキュメンタリーにも使われていた巨人のシークエンスのことである。他にも残るもの、変わるものがいろいろありそうだが、「ストーリーがリークされてしまうこともあるんであまり詳しくは言わないが、CM代理店のクリエイターが主人公になるというアイデアは変わらない。メイキングの撮影隊を入れるかって?答えは、ノーだね(笑)」。

出来上がるまでは安心できないのがギリアムの映画だが、今度こそ、本当についに、とうとう、この日がやってきた。もとい、やって来ることを熱望して1年間待つことにしよう。【取材・文/まつかわゆま】

作品情報へ