国内外のビッグネームが明かす高倉健の素顔とは?

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国内外のビッグネームが明かす高倉健の素顔とは?

日本中に衝撃を与えた映画俳優・高倉健の死から間もなく2年。スクリーンを通し、「寡黙で不器用だが芯の通った男の中の男」というイメージを確立した彼だが、その素顔とはいったいどのようなものだったのか?20名以上もの証言を基に、今なお語り継がれる高倉の“伝説”をパズルのように紡ぎ合わせたドキュメンタリーが『健さん』(8月20日公開)だ。

【写真を見る】スクリーンの中と外。高倉健の素顔とはいったい…?
【写真を見る】スクリーンの中と外。高倉健の素顔とはいったい…?[c]2016 Team “KEN SAN”

まず驚かされるのが、その証言者たちがとにかく豪華だということ。『ブラック・レイン』(89)で共演経験のあるオスカー俳優、マイケル・ダグラスをはじめ、高倉健のファンを公言する世界的名匠ジョン・ウーやマーティン・スコセッシら錚々たるメンバーだ。

NYを拠点とし、写真家としても活躍する日比遊一監督
NYを拠点とし、写真家としても活躍する日比遊一監督[c]2016 Team “KEN SAN”

これだけの豪華キャストゆえに、撮影するにあたって困難も当然あったようだ。自らインタビュアーも務めている日比遊一監督曰く「スケジュールをこちらで組むのではなく、キャストの予定に合わせて撮影しなくてはいけなかったので、待つ期間が長くて…。でも一番大変だったのは、質問を考えること。徹底的にリサーチして、相手ですら忘れているようなことを思い出させる質問から始めて、相手に『こいつにはすべて語ってやろう』っていう気を起させる」とインタビューにあたり万全の準備で挑んだようだ。

そんな日比監督は、最も印象に残ったインタビュー相手としてマイケル・ダグラスを挙げてくれた。ダグラスは劇中、「KENには、その場に自然に存在するという(演技をする上で必要な)能力があった。そんなマジックで観客を惹きつける映画俳優のお手本のようだ」と明かしている。

『ブラック・レイン』(89)で共演するまでは高倉健のこを知らなかったというマイケル・ダグラス
『ブラック・レイン』(89)で共演するまでは高倉健のこを知らなかったというマイケル・ダグラス[c]2016 Team “KEN SAN”

日比監督は「これまでの役の印象からどんなクセモノだろうと思っていたけど…すごく良い人で。『高倉さんの映画に出るのだから何でも話すよ』って言ってくれて」と、高倉のため、本作をより良くしようとするダグラスの協力的な姿勢を肌で感じ、同時に高倉の偉大さを改めて実感したという。

また、日比監督が特に感動したというのがジョン・ウー監督の言葉。「私の映画の中のチョウ・ユンファやニコラス・ケイジ、トニー・レオンに優雅さや落ち着きがあるのは高倉健の影響だ」と明かしたジョン・ウー。『M:I-2』(00)でトム・クルーズを演出する時でさえ、彼のスタイルを常に意識した…というから驚きだ。この証言を引き出した日比監督自身も「あの大スターたちの裏に健さんがいたと思うと…」と、思わず鳥肌が立ったという。

「私にとっての高倉健は男の中の男」と、そのこだわりを語るジョン・ウー監督
「私にとっての高倉健は男の中の男」と、そのこだわりを語るジョン・ウー監督[c]2016 Team “KEN SAN”

一方、こうしたハリウッドの一線で活躍する大物の証言だけでなく、本作には、高倉健のプライベートを知る関係者の証言も盛り込まれている。特に貴重なのが、40年来の付き人として公私ともに親しかったという西村泰治氏の証言。劇中、彼の息子の結婚式に出席した高倉がスピーチをする場面も登場するが、メモなどは一切見ずに、新郎新婦の目を見つめながら語りかけているのだ。「演技を超えたところに高倉健があるというけれど、あのスピーチもそうですよね。人柄がにじみ出ている」と日比監督。

高倉健が生前、限られたインタビューしか受けなかったことは広く知られているだけに、こうした証言を通して見えてくる彼の素顔はあまりにも鮮烈だ。

日本を代表する映画俳優・高倉健。その素顔に迫るドキュメンタリー『健さん』
日本を代表する映画俳優・高倉健。その素顔に迫るドキュメンタリー『健さん』[c]2016 Team “KEN SAN”
高倉健が最も好きな書家として惚れ込んでいた中野北溟(ほくめい)による本作の題字
高倉健が最も好きな書家として惚れ込んでいた中野北溟(ほくめい)による本作の題字[c]2016 Team “KEN SAN”

本作のラストをあえて語るならば、高倉健が好きだったという書道家・中野北溟が書き下ろした題字(『健さん』)が映し出される瞬間、その高揚感がたまらなくいい。マイケル・ダグラスやジョン・ウーら名だたる証言者、そして観客みんなが次々に「健さん」と呼びかけるラストシーン!その興奮をぜひスクリーンで味わってほしい。【取材・文/トライワークス】

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