上白石萌音、主演作で感激!「新海誠監督と同じ時代に生きる幸せ」
映画『君の名は。』(8月26日公開)で、神木隆之介と共に声の出演を務めた期待の若手女優、上白石萌音にインタビュー。11年に第7回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞してから約5年。女優としてのこれまでを振り返りつつ、本作への深い思い入れを語ってもらった。
本作は、別々の土地で暮らす赤の他人だった高校生の瀧(神木)と三葉(上白石)がある日突然夢の中で入れ替わったことで、壮大なドラマへと繋がる青春ファンタジー。上白石は三葉役のオーディションの時点で、この作品世界に惚れ込んでしまったという。
「初めて台本を読んだ時、胸に迫るものがあってボロボロ泣いてしまい…、『君の名は。』が一瞬で大好きになりました。正直、自信がなかったので合格したって聞いたときは信じられなかったですが、この作品の中に三葉として生きられるんだと思うと、ただただ嬉しかったです」。
しかし、その喜びも束の間…?「その後は、とてつもないプレッシャーに押し潰されそうでした。声のお仕事もほぼ経験がない上に、男女2役というハードルもあって…」とアフレコ前の心境を振り返る。
「デビューしたての頃は、いい演技をするってところまで行きつかなくて、周りに迷惑をかけないように必死でした。その不安を埋めるために、今でもたくさん準備をして本番に臨んでいます」。
そんな上白石が「転機となった作品」と話すのが、初主演を務めた『舞妓はレディ』(14)だ。「撮影を楽しむ先輩方の姿を見て学びました。緊張感の中でどれだけ肩の力が抜けるか、あの作品を経験した上で変われたことがたくさんあったと思います」。それ以降はクランクイン後に自然と気持ちが切り替わるといい、「意外と楽しんでできちゃうんです」と語った。
また、上白石の最大の武器とも言えるのが、『舞妓はレディ』や出演ミュージカルで披露している伸びやかで美しい歌声だ。その経験は本作でも役立ったようで、「声のお仕事と同様、歌もどれだけ感情を乗せられるかが大事だと思うんですが、でもそれだけを気にし過ぎてメロディが疎かになってもダメだし、そのバランスの取り方が似ていると思いました。だから、今回アフレコの時も落ち着いて臨めたのかもしれません」と分析。
「それに、アフレコ前に『僕は女子高生のことはよくわからないので、三葉はお任せします』と新海監督が声をかけてくださり、かなり気が楽になりました。自分が考えた通りでいいんだ、って。真っ直ぐな三葉が魅力的で大好きなので、『自分ならどうするかな?』って色々考えながら演じました」と、監督からのアドバイスも手伝い、万全の体制で三葉役に臨めた様子の上白石。
一方で、三葉と入れ替わる瀧を演じた際は、「新海監督のイメージにいかに近づけるかというのが勝負でした」と語る。「監督の指示はすごく的確で、何も不安はなかったです。今まで言ったことのない男の子らしいセリフや息づかいは難しかったけど、それでももがいているのが楽しかった。瀧になって、私はこういう声も出せるんだ、こんな表現もできるんだって発見が嬉しかったんです」と、本作で得た自身の成長に手応えを感じているようだ。
将来はどんな役柄もこなせる「引き出しがたくさんある女優」になりたいと話す上白石。「そのうえでも、『君の名は。』に出会えたのは運命です。新海監督と同じ時代に生きていてよかった、幸せだなって思います。この先、自分の子どもや孫に三葉を演じたことを自慢したいくらい。一生、私の心の中に残る作品だと思います」。真摯に作品と向き合ったからこそ出てきたその真っ直ぐな言葉からは、弱冠18歳ながらも、大人の女性としての強い“芯”が感じられた。【取材・文/トライワークス】