川口春奈&林遣都、大人の男女を体現!“にがい思い”との向き合い方も告白

インタビュー

川口春奈&林遣都、大人の男女を体現!“にがい思い”との向き合い方も告白

食と愛をテーマにした人気漫画を実写映画化した『にがくてあまい』(9月10日公開)で、川口春奈と林遣都が新たな表情を見せている。川口は、痛い過去や、弱さもさらけ出すキャリアウーマンの女性役。林は、料理好きのゲイの男性役として。それぞれにリアルな“大人の悩み”を真摯に演じきり、共感を呼ぶ映画として完成させた。

現在21歳の川口にとって、これまでは学生の役どころも印象深い。川口は「社会に出てバリバリ働くような女性役はあまりやっていなかった。すごく新鮮だった」と新境地への思いを吐露。演じたマキ役については「やることも、感情の出し方も常に全力。女っぽい感じではなくサバサバしているので、演じていてすごく気持ちよくて。共感できるところも多かった」という。

マキは容姿端麗だが、「料理はできない、部屋は荒れ放題」というガサツ極まりない独身女。川口は「私も器用に何でもできるタイプじゃないので、お仕事が忙しくなってくると部屋がすごいことになる時もありますよ(笑)」と、マキと同じく猪突猛進で不器用なタイプだとか。「マキを見ていると、みんな完璧じゃないし、補い合いながら生きているんだって思えた。大人だって泣くこともあると改めて思えたので、映画を観ていただく方にも何らかのエールになるんじゃないかと思いました」。

一方、林が演じたのは料理好きのゲイで、マキから恋心を寄せられる渚役。きちんと血の通ったキャラクターにすべく、草野翔吾監督からは「ゲイについても、料理のシーンも上っ面で演じてほしくない」との言葉をかけられたという。「ゲイの方にお話を聞くと、立っているだけでも、醸し出す雰囲気からそうだっていうことがわかるそうなんです。普通の方が見てもわからなくても、ゲイの方たちに観られた時に“これはそうだ”とわかるものを目指しました。仕草や歩き方などいろいろなことを試しました」と繊細な役作りに挑んだ。

ひょんなことから同居生活を始めるマキと渚。ふたりが心をさらけだし、体当たりでぶつかり合っていくからこそ、彼らの悩みや喜びがリアルなものとして伝わってくる。初共演となった川口と林だが、マキが渚を机に押し倒すシーンをはじめ、距離の近いシーンも満載だ。壁を取り払うことが大事だったように感じるが、ふたりとも「ものすごく気が合った。気を使うことが全くなかった」と口をそろえる。

川口は「私は林さんとすごく話したくて、話しかけていたんですけど、最初はあまりレスポンスがなくて(笑)。だんだんと会話が増えていって、お芝居もボンと投げればなんでも受け止めてくれました」。林は「やっぱりすぐに人と仲良くなるのって難しいじゃないですか(笑)」とレスポンスが鈍かったことへ反論。「でも話していくとすごく話しやすくて、性格も合う気がして。お芝居も遠慮なくなんでも試せて、一緒にいいものを目指して作っていけました」。

10代の頃から俳優・女優として邁進している彼ら。ふたりともが本作での印象的なセリフとして、渚の「にがい思いは料理しちゃった方が栄養になる」との言葉をあげた。川口は「大変なことや嫌だなと思うことももちろんあるけれど、私はそれ以上にすごく自分の置かれている環境が恵まれているなと思うんです。学生の時はそこまで気づくことができなかったんですが、自分の周りにはたくさんの人がいてくれると思うと、感謝する気持ちがどんどん増えてきて。それと同時に、責任感も増えてきたと思います」と、大人の女性として、しっかりと成長を遂げている。

林は「僕は悩んだり、苦しんだりすると、どこかであれもこれも全部、俳優業に活かせるんじゃないかと思ってしまっているところがあって」と告白。「もちろんこの仕事を始めた頃はそんなふうに思っていませんでしたし、そう思えるようになったのは最近のことです。よくいろいろな人から失敗することが大事だとも言われて、年々、本当にそうだなと思うことが多くて。今回、本当に監督が厳しくハードルを設けてくれました。作品もキャラクターも突き詰めれば詰めるほど、自分に良い結果として返ってくることが多いと改めて思えました」。

にがい思いも、栄養に。身をもって感じる思いを、清々しい笑顔で語り合ってくれたふたり。彼らの新境地をぜひ、楽しんでほしい。【取材・文/成田おり枝】

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