上野樹里、リリー・フランキー演じる20歳年上の“彼氏”の魅力とは?

インタビュー

上野樹里、リリー・フランキー演じる20歳年上の“彼氏”の魅力とは?

タナダユキ監督、上野樹里主演で贈る家族の物語『お父さんと伊藤さん』(10月8日公開)。家族を演じた上野、リリー・フランキー、藤竜也のやり取りが、自然かつコミカル!現代を生きる女性のリアル問題をしっかりと映し出しつつも、軽やかでユーモアたっぷりの温かなホームドラマに仕上がった。上野にインタビューし、リリーと藤という年上男性との共演の感想を聞いた。

主人公となるのは、34歳の彩(上野)。54歳の伊藤さんと同棲中のアパートに、息子夫婦の家を追い出されたお父さんが転がり込んでくることから始まる物語だ。3人の綴る日常は、クスリと笑ってしまいながらも、誰もが家族を思い出してホロリと泣けてしまうような生っぽさがある。

身近にいそうな女性として彩をスクリーンに登場させた、上野の自然体の演技にも目を見張るが、自然体を表現しえた秘訣とは何だろう?「リリーさん演じる伊藤さんや、藤さんが演じるお父さんの人間力を感じながら、彩という人物を演じました。監督からの細かい指示もなく演じるというのは難しいことでもありますが、そういうことも楽しめるゆとりというか、肩の力を抜いて彩を演じられたのが、すごく楽しかったです」。

彼らの見せる丁々発止のやり取りは家族そのもの。世代の違う俳優陣が、どのようにその空気感を作り出したのか気になるところだが、上野は「特に何もしていないんですよ」とふわりと微笑む。「意識はせず、何も話さないでいる時もあれば、自然に話し始める時もあって。全員世代が違うので、『へぇ!』って思える話がたくさん聞けたり。ものすごく自然にいられて楽で(笑)。恵まれた現場だったんです」。

「私は運良く、藤さんのヤクザものとかを見ていなかったので、ニュートラルに父として携われたので、良かったです」とお茶目に語る上野。藤の姿からは刺激を受けることもあった。「藤さんは優しくて、すごくチャーミング。撮影前にロケ現場の下見に行ったり、きちんと下調べをしたり、情報を集めて役作りをされていて。ロケ現場に下見に行きがてら温泉に行ったりして、すごくそれを楽しんでやられていて、とても素敵だと思いました。作品に対する愛情がすごくある方なので、私もそういう愛情が持てたらいいなと思いました」。

20歳も年上の彼氏を演じるリリーの存在感がまた面白い。上野は、伊藤さんについて「絶対にリリーさんって思った」と楽しそうに笑う。「本当にリリーさんがキャスティングされて、これは絶対に大丈夫だと思いました。リリーさんは不思議な存在。リリーさんみたいな人って、リリーさんしかいませんから」と唯一無二の魅力に舌を巻く。

リリー自身も「この役は自分に近い」と言っていたそうだが、世間的に見たらダメダメの伊藤さんが、見ている内に、女性陣ならばなぜか惚れてしまうような魅力を持っている。上野は、彩が伊藤さんに惹かれた理由をどう感じたのだろうか。「自分というものをしっかりと持った彩が、彩としていられる人なんだと思います。それには心が優しくて、ありのままの彩を受け止めてくれて、器のある人じゃないといけなくて。奥さん、彼女として、家事洗濯をしなきゃいけないという窮屈さもない。自分ひとりでも伊藤さんは家事をやってくれちゃうし。それでいて、彩にちゃんと図星を言ってくれる人。彩はすねちゃうけど、ちゃんと響いているんですよね」。

聞けば聞くほど、伊藤さんは働く女性にとって理想の男に思えてくる。魅力的な3人が奏でるアンサンブルを、ぜひスクリーンで楽しんでほしい。【取材・文/成田おり枝】

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