米林宏昌監督最新作は「ジブリ人生すべてを注ぎ込む」魔女の物語。宮崎駿も「うれしい」と喜ぶ

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米林宏昌監督最新作は「ジブリ人生すべてを注ぎ込む」魔女の物語。宮崎駿も「うれしい」と喜ぶ

スタジオジブリにて『借りぐらしのアリエッティ』『思い出のマーニー』を生み出した米林宏昌監督が、新スタジオにて贈り出す最新作『メアリと魔女の花』が2017年夏に公開されることが決定。12月15日に都内で製作発表・記者会見が開催され、米林監督と西村義明プロデューサーが出席した。

制作は、2014年末にスタジオジブリを退社した後、西村プロデューサーが立ち上げたアニメーションスタジオ・スタジオポノックが担う。本作が、スタジオポノック制作として初の長編映画となる。

西村プロデューサーは「一時代が終わってしまった」と感じたスタジオジブリの解散を振り返り、宮崎駿監督や高畑勲監督、鈴木敏夫プロデューサーが築いてきた志を「誰が受け継いていくんだ。自分たちが愛した作品がもう作れないんじゃないかと焦った」と話すなど、スタジオ設立までの熱い想いを吐露した。

本作の原作は1971年に描かれたイギリスの女流作家メアリー・スチュアートによる児童文学「The Little Broomstick」。11歳の女の子メアリが奇想天外の大冒険に巻き込まれる物語で、未知なる世界への憧れを真っ向から描く“エンタテインメントの王道”と言える作品となりそうだ。

西村プロデューサーは「米林監督と作りたいものが合致していた」と告白。「『思い出のマーニー』と真逆をやろう。米林監督のダイナミックな作品を観たいと思った。元気な女の子がダイナミックに動き回るファンタジーを作ろう」と思ったと言う。そのなかでモチーフとして思い浮かんだのが、“魔女”。「元気な女の子が動き回るファンタジーは魔女にぴったり。『魔女の宅急便』は僕らが子供時代に喜んだ作品。今の子供たちに向けた、まったく新しい、21世紀の魔女の物語をやりたい」と思い、今回の原作にたどり着いたと話す。

「もう一本作るなら、みなさんが僕に思っているものを裏切りたいと思っていた」という米林監督は「『思い出のマーニー』が静なら、『メアリと魔女の花』は動」と分析。長編アニメに取り掛かる上では、師である宮崎監督にも意志を伝えに行ったそうで、宮崎監督からは「長編アニメをやるなら覚悟を持ってやれ」とのエールをもらった。

また米林監督曰く、宮崎監督から「うれしい」という言葉もあったそう。「こんな素直な言葉が出てくる人なんだと思った」と会場を笑わせながら、「宮崎さんがうれしいと期待してもらった作品をつくらなければ」と意気込む。スタッフの8割は、ジブリ作品に関わってきた人が集った。西村プロデューサーは「僕らにはジブリの血が受け継がれている。米林監督のジブリ人生のすべてを注ぎ込む作品になる」と力強く語っていた。【取材・文/成田おり枝】

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