チケット入手困難な人気落語家・柳家喬太郎、映画初主演の理由とは?
“いま最もチケットを取るのが難しい落語家”と言われている落語会の鬼才、柳家喬太郎。年末恒例の「手帳は高橋」のCMに春風亭昇太と共に起用されたりと注目を集めている喬太郎師匠だが、17年2月18日(土)には主演映画『スプリング、ハズ、カム』が公開を控えている。
過去に俳優経験はあれど、齢53歳にして今回が映画初主演となった喬太郎師匠。スクリーンでの実力は未知数かと思いきや、第29回東京国際映画祭で公式上映された際には、“遅咲きの主演俳優”喬太郎に、海外の映画人から「あれは誰か?」と問い合わせが殺到したという。
しかし、なぜ喬太郎師匠ほどのキャリアを持つ落語家がこのタイミングでキャスティングされたのか?落語で培われた高い表現力に目をつけたのは、本作の監督・脚本を手掛けた若手作家、吉野竜平だった。
意外にも落語ではなくラジオ番組がきっかけで、喬太郎師匠の存在を知ったという吉野監督。その軽妙な話しぶりに一瞬で虜になった吉野は、すかさず彼の名前をメモし、今回の脚本を書く際に「主人公は喬太郎師匠で」と決めてアテ書きしたのだとか。
そして脚本が仕上がり、いざ出演交渉へ。喬太郎師匠とは面識がなかった吉野監督だったが、思い切って落語協会に脚本を直接郵送。すると数日後、吉野監督の元に「ぜひ前向きに検討させてください」と喬太郎本人から電話で返事が。大御所らしからぬ行動で若手作家の並々ならぬ思いに応え、本作の出演にまで至ったのだという。
その後も、映画製作のための協力を惜しまなかったという喬太郎師匠。数ある若手女優の中からE-girlsの石井杏奈を共演候補にあがった際も、「2人の空気感を確認したい」という吉野監督のため、共に石井杏奈に会いに行ったり、製作費を募るクラウドファンディングの宣伝を演芸場やラジオで行ったり……。まさに主演俳優と監督が“二人三脚”で作り上げてきた作品なのだ。
また、喬太郎師匠や石井杏奈だけでなく、吉野監督が「いつか一緒に仕事がしたい」と切願していた東京03・角田晃広やアルコ&ピース・平子祐希なども出演しており、他では見られない組み合わせの妙が光る本作。落語家からダンサー、お笑い芸人まで!その絶妙なマッチングを楽しんで欲しい。【トライワークス】