デイヴィッド・ブレア
Jacobe_Maker
蜜蜂の飼育をする青年が、蜜蜂テレビという水晶体を頭に埋め込まれたことから自分や自分のまわりにいる人間の過去や未来を行き来するというもの。監督は、短編のアート作品を手掛けてきたデイヴィッド・ブレア。本作は彼の長編第一作めで、撮影した素材とコンピュータ・グラフィックを組み合わせたヴィジュアルが話題を呼び、第6回モンベリヤール・フィルム・ヴィデオ・フェスティバルのグランプリを受賞した。ナレーション翻訳は栩木玲子
1983年、メキシコ。ジェイコブ・メイカー(デイヴィッド・ブレア)は、フライト・シミュレーション・ファクトリーで射撃照準ディスプレイのプログラミングを担当している傍ら、祖父から受け継いだミツバチの飼育を行っていた。ある日、ジェイコブの飼育している蜜蜂が、彼のこめかみに水晶体を埋め込んだ。それは蜜蜂テレビと呼ぶもので、未来の死者やジェイコブ自身の宿命を見ることができるようになっていた。蜂はジェイコブに、第一次世界大戦後、彼の祖父(ジェイムズ・ハイヴ・メイカー)がメソポタミア系蜜蜂を手に入れたこと、祖父とメソポタミア系蜜蜂の運命的な関係を告げ、ジェイコブをアラモゴード砂漠へと連れ去った。原子爆弾の誕生の地であるトリニティ・サイトを過ぎ、ジェイコブは砂漠の地下にある巨大な洞窟にたどり着く。そこで彼は、蜂たちの奇妙な世界に入り込み、運命を終える。過去と未来の双方へ旅をしたジェイコブは、1991年、イラクのバスラで、自分が殺さなければならない犠牲者と対面する。
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