ナオミ・ワッツ
Grace
過去から甦った少年の怨念が平和な田舎町を血に染めていくさまを描いたホラー。モダン・ホラーの巨頭スティーブン・キングの小説『トウモロコシ畑の子供たち』(邦訳・サンケイ文庫)の4度目の映画化。監督はグレッグ・スペンス、製作は「アーバン・ハーベスト」のゲイリー・デピュー。脚本はスティーヴン・ビーガーとスペンス、撮影はリチャード・クレイボー、音楽はデイヴィッド・ウィリアムス、編集はクリス・シベリーがそれぞれ担当。出演は「タンク・ガール」のナオミ・ワッツ、「ファミリー・プロット」「ザ・プレイヤー」のベテラン女優、カレン・ブラックほか。
郊外にトウモロコシ畑が広がるネブラスカ州ブランド・アイランド。医学生グレイス(ナオミ・ワッツ)は、ノイローゼの母ジューン(カレン・ブラック)の面倒をみるため、町に戻ってきた。家では妹マーガレットと弟ジェームズが待っていた。町の医師ロブは、見知らぬ少年が自分を殺しに来るという悪夢に悩まされていると語る。グレイスはロブの診療所で働きながら、町に留まる。ある日、奇妙な熱病が町中の子供たちを襲った。何故か大人には感染しないのだ。親たちはパニックに陥るが、ある晩を境にパッタリと全員の症状は治まった。アトキンス一家は、血友病の息子 マーカスの治療のため、センターのあるデンバーへ移ることになっていた。その引っ越しの前夜、母サンドラが、鋭利な凶器で切り刻まれて惨殺される。父ドナルドが疑われるが、トウモロコシ畑へ迷い込んだマーカスを追った保安官が同じ手口で殺され、ドナルドは二件の殺人の容疑者にされてしまう。その頃、またも町中の子供たちに異常が発生。高熱がぶり返し、歯、それも歯科治療で金属の詰め物をした歯だけが抜けるという症状。しかも、かつてこの町で不吉な死に方をした子供の名を、皆が自分の名だといって騙り始めた。ロブ医師は、昔父親に殺された双子、エゼキエルとカレブを名乗る兄弟に追いつめられ、闇のなかから突然現れた伝道師姿の少年に殺されてしまう。グレイスは子供たちの血液検査に没頭。全員が死人のように血中の酸素濃度が異常に低いのだ。ロブを捜しに出掛けたところ、その車にライフルを持ったドナルドが乗り込んできた。自分が現在身を寄せている老女、ジェーンとローザのノック姉妹が何かを知っているというのだ。二人が語ったのは、血も凍る数奇な実話だった。何十年も前、地方を巡回する伝道師たちの一行に、ジョサイアという一人の少年がいた。彼は私生児で、伝道師たちに拾われたのだが、少年伝道師として人気があった。献金の金づるであるジョサイアをいつまでも子供にとどめておくため、伝道師たちは世にも恐ろしい仕打ちを行った。クイック・シルバーという毒薬-水銀-を服用させ成長を止めたのだ。事実を知ったジョサイアは錯乱し、伝道師たちを大鎌で皆殺しにした。恐れた人々は、トウモロコシ畑でジョサイアを焼き殺し、灰を井戸に捨てた……今、甦ったジョサイアの身勝手な大人たちへの復讐が始まったのだ。そして、ジョサイアが自分の身代わりとして選んだのが、似た境遇の少女、マーガレットだった。実はマーガレットはグレイスの妹ではなく娘で、つまり私生児だったのだ。ジョサイアの魔力を封じるには水銀が有効と考えたグレイスとドナルドは、薬品をトラックに乗せ、トウモロコシ畑へと向かう。が、ジューンもまた殺され、マーガレットを含めた町中の子供たちが、畑の中の農機具倉庫へ集結していた。そこはジョサイアの灰が捨てられた場所で、今や悪魔の儀式の場だった。水銀を注入した弾丸で立ち向かう二人、間一髪、ジョサイアは滅び、マーガレットやマーカスも救出された。町を去るアトキンス親子とグレイスたち、だが、これで全ては終わったのだろうか。ジェームズの眼差しが、どうもおかしい……。
Grace
Margaret
June
James
Donald
Sandra
Marcus
Josiah
Doctor Rob
監督、脚本
脚本
原作
製作
撮影
音楽
編集
字幕
[c]キネマ旬報社