ジェシカ・ラング
Carly Marshall
情緒不安定な軍人の妻と彼女を愛する夫の心理的葛藤を、米軍の機密事項を背景に描いた異色の家族ドラマ。90年に撮影されたが、監督の死や製作会社の倒産などが重なりアメリカでも4年間オクラ入りとなっていた。監督はこれが遺作となった、「長距離ランナーの孤独」「ホテル・ニューハンプシャー」のトニー・リチャードソン。テレビ畑で活躍する脚本家ラマ・ローリー・ステグナーの半自叙伝的な原案を、彼女と「ペギー・スーの結婚」のコンビ、アーレン・サーナーとジェリー・レイクトリングの共同で脚色。製作は「ウィンター・ピープル」のロバート・H・ソロ、エグゼクティヴ・プロデューサーは「薔薇の素顔」のジョン・G・ウィルソン。撮影は『キャビン・ボーイ』(V)のスティーヴ・ヤコネッリ。音楽は「恋する人魚たち」のジャック・ニッチェ。美術はリチャードソン演出のテレビドラマ『オペラ座の怪人』も手掛けたティミアン・アルセイカー、編集は監督とは「ボーダー」以来のコンビ、ロバート・K・ランバートが担当。主演は本作で94年度アカデミー主演女優賞を受賞した「ナイト・アンド・ザ・シティ」のジェシカ・ラングと、「ナチュラル・ボーン・キラーズ」のトミー・リー・ジョーンズ。共演は「三銃士(1993)」のクリス・オドネル、「トゥームストーン」のパワーズ・ブース、「ハードロック・ハイジャック」のエイミー・ロケインら。
62年、ハワイ。部下とヘリコプターで飛行していたハンク・マーシャル少佐(トミー・リー・ジョーンズ)は、トップレスの女が海岸を歩いているところを低空で降下し、部下たちに「女房さ。美人だろ」と言う。その妻カーリー(ジェシカ・ラング)は情緒不安定で軍人の妻という現実を直視できず、自分は映画女優になるべき存在だと夢想し、日々そのように振る舞っていた。アラバマへの転勤が決まり、2人の娘アレックス(エイミー・ロケイン)とベッキーを連れて新天地に向かう一家。カーリーは自分が考えていた新生活のイメージとは程遠い基地内のお粗末な家に癇癪を爆発させる。ハンクは彼女を優しくなだめ、その晩二人は激しく愛を交わした。カーリーはハンクの新しい上官、ジョンソン大佐(パワーズ・ブース)の妻ヴェラ(キャリー・スノッドグレス)から基地の婦人クラブのショーに誘われ、皆の注目を集めることができるとご機嫌になる。大佐の息子グレン(クリス・オドネル)もアレックスと同じ年頃で、家族ぐるみの付き合いが始まった。“ブルースカイ”なる暗号名の核実験のため、ネバダ州の実験場に出掛けたハンクは、開始直前に危険区域内に2人のカウボーイがいるのを目撃して通報するが、上層部に黙殺された。彼の留守中にアレックスとグレンは基地内の廃墟に入り、誤って手榴弾を爆発させて大騒動となる。一方、カーリーは大佐と浮気をしていた。アレックスに浮気現場を見られたカーリーは、娘の叱責に耐えかねて、ネバダにいるハンクに電話で告白する。基地に戻ったハンクは、「ブルースカイ」計画が2人の民間人を見殺しにしていることを責めるが、カーリーを寝取った腹いせとしか考えない大佐に怒りを爆発させ、殴り倒してしまう。大佐はハンクに強制的な「治療」を受けさせ、彼は廃人のような姿になる。それを知ったカーリーは軍の式典に謁見中の大佐の前に車を乗り付け、叱責する。夫のカバンから核実験の書類を見つけた彼女は、ネバダのカウボーイたちに夫の無実を証明するためにも新聞社に行って証言してくれと頼む。協力を拒まれた彼女は意を決して自ら馬に乗り、実験場に駆り出す。ちょうど、軍がマスコミに核の安全性をPRしていた最中に現れたカーリーの姿は、テレビで大きく報道された。その結果、ハンクの保釈と大佐の解任が決まった。夫婦は全てを許し合い、抱き合う。除隊したハンクが教職を得てカリファルニアへ向かう日、カーリーを筆頭にしたマーシャル一家とグレンは、希望に燃えて車で出発した。
Carly Marshall
Hank Marshall
Vince Johnson
Vera Johnson
Alex Marshall
Glenn Johnson
Ray Stevens
Colonel Mike Anwalt
Ned Owens
Lydia
Becky Marshall
監督
脚本、原案
脚本
脚本
製作
撮影
音楽
美術
編集
衣装デザイン
字幕
[c]キネマ旬報社